アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、従前どおりインド株の割高感を指摘し、投資の初心者へのアドバイスを語っている。
「私は国ごとのPERを計算しているが、インドは(小国を除く)あらゆる規模の国の中でPERが最高だった。・・・
だから、インドは最も割高だと述べた。」
ダモダラン教授が印NDTV Profitで、インド市場の水準についてコメントした。
教授によれば、同市場は調整が入った今でも「まだ割高」だという。
むしろ、トランプ関税による不確実性が生じている分「より割高」になっているとも話している。
ダモダラン教授は、割高となっている要因を2つ挙げている:
- 海外の機関投資家のFOMO: 次の有望市場であるインドに投資せざるをえない。
- 豊かになるインド人: 規制もあり、国内へも投資せざるをえない。
ダモダラン教授は、同様のことが過去の中国市場でも起こったと指摘している。
ダモダラン教授は、若いインド人投資家へのアドバイスを求められ、次のように答えている。
みんなが嫌いなことを言うことになるが、投資とは富を保蔵し育てることであって、金持ちになることではない。
残念なことに、特に若い投資家、これはインドだけでなく世界中で、どこかに投資とはすぐに金持ちになる方法だとの感覚がある。・・・
金持ちになるためテンバガーやハンドレッドバガーを望んでいる。
ダモダラン教授によれば、テンバガーを狙っても当たる確率は極めて低く、そうすることで良質の投資先を見落としてしまうのだという。
教授は、そもそもの話として、投資をしたいのかトレードをしたいのか、はっきりとした意思を持つことが必要だと諭す。
ダモダラン教授は、決してトレードが悪いと言いたいのではない。
ただ、言外に、トレードで成功するのは分が悪いと滲ませている。
教授は極めて堅実かつ現実的な財産形成を奨めている。
「仕事があるなら、立派な仕事をしなさい。
それこそが貯蓄するための所得を得る手段だからだ。」
もちろん世の中には、ビギナーズラックなどをモノにし、小さな投資元本で大金持ちになる人もいる。
結果的にいい時期に暗号資産を買ったり、たまたま入ったベンチャー企業のストックオプションが大きく化けたりすることもある。
しかし、それは狙って達成できるやり方ではない。
しっかりと働いて相応の投資元本を稼ぎ堅実に長期投資することで資産の価値を守り育てることこそ、計算できる現実的なやり方だ。
(次ページ: 高リターンを得るのと投資を楽しむのは別の話)