ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、米国で容易にイールドカーブ・コントロールが行われうる状況について示唆している。
「(コモディティのインデックスが)200日移動平均より小さくない幅で上回り、同移動平均が上昇していることから、先週わが社は幅広いコモディティに対し積極的スタンスに転じた。
同様に金についても積極的だ。」
ガンドラック氏が9日のウェブキャストで、金を含むコモディティに対し強気の見通しを語った。
(ただし、原油については名言していない。)
ガンドラック氏は金について3月のウェブキャストで4,000ドルを予想した。
当時まだ金価格は2,900ドル前後だったから、相当に大胆な予想と受け止められた。
その後、金価格は急騰し4,000ドルを大きく超えると、ガンドラック氏は金に対して中立のスタンスに。
調整が入り一時4,000ドルを割り込む場面もあったが、現在は4,300ドル近辺まで上昇している。
移動平均線の話はテクニカル分析の視点によるものであり、タイミングの話なのだろう。
もちろんガンドラック氏の強気転換には米政府の財政不安というファンダメンタルズ面での背景も存在する。
「過去12か月の米国債発行におけるTビルの割合は1年前の85.5-86.0%から84%に下がった。
Tビルは12か月のうちに何回も発行されうるので、この数字は少し誤解を与えるかもしれない。・・・
それでも84%の米国債発行がTビルであり、それが興味深い潜在的インフレ政策につながっている。
大統領は利下げを望んでいる。」
わずかに下がったとは言え84%はやはり高いのだろう。
近時の最低水準は2015年11月であり、この頃は70%を切っていた。
ちなみに、過去12か月でのすべてのフィクストインカム発行に占めるTビルの割合は69%だったという(2015年11月は41.8%)。
Tビルによるクラウディング・アウトを心配したくなるような上昇だ。
ガンドラック氏は、米政府の国債管理の目的を推測する。
「これは、利払い費を減らそうとする、公言されない戦略なのだろう。
Tビルの実質利回りをマイナスにしたいのだろう。
これは、債券市場の長期側で機能不全を生む。
実質金利をマイナスにし始めれば、みんなドルの価値についての心配を始める。
債務についてどう責任ある管理を約束するのか心配し始める。」
これこそガンドラック氏がドル安を予想する理由なのだ。
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