アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、結果的には横這いで終わった米市場をレビューし、株式がかつての相場に回帰した可能性、米国債への見方を変える可能性を指摘しつつ、いつものように毒舌も吐いている。
総括すると、2025年4月の市場ストレスは、反転を約束した第1四半期の後、テクノロジー・グロース・モメンタムすべてが4月の終わり3週間に回復するにつれ、市場を2024年の状態に押し戻した。
ダモダラン教授が自身のブログで「テック株について書かれた訃報」が早く出されすぎたかもしれないと書いている。
マグニフィセント7も、4月初めこそ下げたが、その後ほぼ下げを消している。
教授は、このトレンドが今後も続くか要注目と書いている。
その他、大型株が小型株より、株主還元の大きい銘柄が無還元の銘柄よりアウトパフォームしたというから、市場の牽引役交代との見方が後退したことになる。
ダモダラン教授は、その他の資産クラス、特に米国債についても、少し目を遠くして1か月全体を見直している。
「株式が2025年4月パニックと妄想の中を突っ切った中、米国債をはじめとする他の資産クラスは少なくとも表面的には驚くほど落ち着いていた。
米国債に資金が流入し利回りが低下し価格が上昇した他の危機とは異なり、米国債利回りは4月のほとんどを通して比較的安定していた。」
通常なら米国株が急落する時にはリスク回避のために米国債は買われることが多い。
しかし今回、株価が急落し回復する過程でも、米国債は比較的安定していた。
ダモダラン教授はその理由を示唆している。
「今回の危機では、過去、少なくとも米国債市場では見られなかった力が働いている。
それは、米政府の信認ついての懸念だ。
まだ早期の兆候だが、これがソブリンCDS市場に表れており・・・米CDSスプレッドが4月に上昇した。」
本来なら株安で米国債が買われるはずが、買い手が米国債にリスクプレミアムを要求したため、利回り低下・価格上昇とならなかったのだ。
それどころか、4月は米国のトリプル安が心配される局面さえあった。
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