レイ・ダリオ氏は、財政の悪化が国に及ぼしうる危うさを示唆する。
「歴史が示すとおり、富の格差が大きく経済状況が悪い時に行われる増税・歳出削減こそ、何よりもある種の内戦または革命の先行指標となってきた。」
「ポピュリズムや分断こそ注視すべき目印だ。
ポピュリズムや分断が大きくなればなるほど、国家が第5段階にあることになり、内戦や革命に近づくことになる。
第5段階では穏健派は少数派になる。
第6段階では消滅する。」
こう読んでいくにつれ、いつものダリオ氏の発信と同様、とても暗い話になりがちだ。
1つ気休めを挙げるなら、ダリオ氏が内戦・革命を全否定はしていない点だ。
ほとんどの場合で極めて大きな痛みをともなうと現実を述べつつも、うまく行けば成功の基盤を築くこともあると書いている。
興味深いのは、日本の明治維新以降についての記述だ。
「アメリカ人は日本に開放を強い、それが革命勢力の背中を押して(将軍の治める)政府と戦わせ、打ち負かさせた。
それが、日本の士農工商の序列による内部秩序をひっくり返した。・・・
改革プロセスにおいて、指導者らは広く男女ともに初等教育を施し、資本主義を選択し、諸外国に国を解放した。
新たな技術を用いたことで、日本の競争力は高まり、富を得ることとなった。」
日本の近代化がアメリカの功績のように語られているように聞こえるのには少々違和感があるが、理由がないわけではない。
ダリオ氏は、第6段階における内戦・革命には外国勢力の関与があるのが通常との観察を述べている。
また、ダリオ氏は日本を好事例としてのみ見ているわけではない。
この改革の結果、日本は典型的なビッグ・サイクルの段階を踏むようになった。
日本は極めて大きな成功を収め、豊かになった。
しかし、時とともに退廃し、行き過ぎ、分断され、経済的不況を経験し、高くついた戦争に突入し、これらすべてが典型的な衰退につながった。
明治の秩序と典型的なビッグ・サイクルは1869年から1945年まで76年続いた。
ダリオ氏は「ビッグ・サイクル」を(多少の差はあれど)約80年(ほぼ人の人生)のサイクルと見ている。
明治維新後の76年は、その典型だと言っているわけだ。
前サイクルの終わりを1945年(終戦)、新サイクルの始まりを翌1946年とするなら、そこから80年後は今年2026年ということになる。
終戦というタイミングは日本だけでなく多くの国にとって新たなサイクルの開始と考えうるタイミングだろう。
