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日本は世界に先行している?
2025年7月13日

つい最近いくつか日本が世界の先を行っているのではないかと思う記事に出会った。

まずはBloomberg記事(日本語)
今年第1四半期、世界の外貨準備の運用主体が943億ドル相当という「前例のない」規模の円を売ったというもの。
貿易赤字と低成長により「円が安全資産としての魅力を失っている」との見方が紹介されている。

主な受け皿はスイス・フランで、過去最高の667億ドル相当が買われたという。
中立国としての魅力、貿易黒字が要因として挙げられている。

世界では、基軸通貨ドルの地位が揺らいでいるとの議論が盛んだが、日本人は人のことを心配する前に自分の心配をすべきなのだ。
冷静になって近年の円安ドル高を振り返れば、凋落は日本の方が先行しているというべきだろう。

もう1つは11日のレイ・ダリオ氏のツイート
ここでは、債務過多に陥った経済が景気後退時に「典型的な自己強化型サイクル」に陥る傾向について書かれている:

1) 帝国はもはや債務返済のための借金ができなくなる。
2) 貨幣を大量増発し、それが通貨を減価させ、インフレを押し上げる。
3) 生活水準が低下し、政治において極端主義の台頭につながる。
4) 不安定な経済状況が生産性を損ない、縮小するリソースの分配で対立が起こる。
5) ポピュリスト指導者が表れ、秩序の統制・実現を約束する。

これこそアベノミクス以降に進んだ日本の姿であるようにも聞こえる。
日本は3年ほど米国に先行していたのではないか。

日本国債は、特に超長期ゾーンについて、心配な状況が続いている。
今後、循環的にでも景気が悪化するようなら、ダリオ氏の言う「自己強化型サイクル」がますます心配されてくるのではないか。

ちなみに、ダリオ氏のツイートには先述のサイクルについての短いビデオが添付されている。
上記の4)について、興味深いサイド・ストーリーが含まれている。

典型的には、そうした時期、金持ちへの税金が引き上げられる。
富と幸福が奪われると恐れる金持ちはより安全と感じるところに移転し、資産・通貨を移す。
これが帝国の税収を減らし、典型的な自己強化的な空洞化プロセスにつながる。

そう、まさに読者の皆さんのことだ。


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