アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、押し目買いや逆張り投資を成功させるやり方について提案している。
行動ファイナンス、実証研究の分野では逆張り戦略を支持する研究が存在するが、投資にかかわる事柄の常として、それには注意点や条件が存在する。
ダモダラン教授が自身のブログで、押し目買い、逆張り投資について解説している。
投資の基本的な格言《Buy low, sell high.》を忠実に実行する、このタイプの戦略について4つの類型を示し、コメントしている。
この解説は、とりわけ個人投資家にとって貴重かつ有益だろう。
理に適った分類であり、当たり前の整理だが、他では見たことがない。
かりに読者が投資家でなくトレーダーであるとしても(原典と合わせ)一読の価値がある。
順にポイントを紹介しよう。
1. 条件反射的逆張り
自律反発を信じ、大きく下げたら買うというスタイル。
個人投資家にはこうした行動を採る人が意外に多い。
ダモダラン教授は、注意点をいくつか挙げている:
- 米国株だけで有効なのかもしれない。
- リターン実現までに時間がかかるかもしれない。
- 個別株では「落ちるナイフ」が戻ってこない可能性も。
ダモダラン教授は、いくつか勝ち組ポートフォリオと負け組ポートフォリオのその後を追跡する学術研究を紹介している。
当初1年ほどは勝ち組が勝ち続け、それ以降負け組が勝ち始めるという研究もあるという。
ただし、
「勝ち組銘柄対負け組銘柄についてのコンセンサスはというと、ホライズンによって、勝ち組銘柄が勝ち続けるというモメンタム説、負け組銘柄がアウトパフォームするという逆転説の両方ともに証拠が示されており、コンセンサスは存在しない。
これら説で示された超過リターンが取引コストをカバーするのに十分大きいかどうかについて疑問がある。」
2. テクニカルによる逆張り
下げだけでなく、テクニカル面の条件を付して買うスタイル。
これも市場が相当に効率的と信じるなら採用しにくいスタイルだ。
例として、「市場の降参」(値段にかかわらず売られる状況のこと)を市場の底と見る例が挙げられている。
ダモダラン教授によれば、皮肉にも学術研究の中にこうしたスタイルの可能性を認めるものが見受けられると紹介している。
ただし、現実のタクティクスはそう簡単ではないとも指摘している。
- どの指標を用いるかが大問題。
- (学術研究でなく)実務家の方では、取引コストに見合う値幅があるか慎重。
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