モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、トレーダー向けに市場サイクルを軸とした予想・解説を好む。
どうやら同氏のサイクル認識が一歩先のステージに進んだようだ。
過去数週間、来年の年央までにS&P 500が7,200に達するとする強気予想にさらに傾いている。
ウィルソン氏が自社ポッドキャストで、米国株市場に対する強気スタンスを強めている。
ただし、定性的な見通しは従前から大きくは変わっていない。
いったん夏に調整局面があるものの、その後は上向きとなるというものだった。
ウィルソン氏の直近までのサイクル認識とは、「過去3年間ローリング・リセッション(訳注:経済の部分ごとに入れ替わり景気が後退すること)を経験してきた」というもの。
それにともない市場はサイクル終期の段階にあった。
同氏は、過去数年の民間セクターでの雇用の悪化、公共セクターでの改善に注目し、これがサイクル初期に移行する典型的な兆候だと指摘している。
「これこそサイクル初期の環境で営業レバレッジが変化し、利益率が拡大する主因だ。
わが社による企業利益モデルはこの注目されていない力学に光を当てており、AIの応用がこの現象を加速させる可能性が高い。
つまり、長く続いた賃金上昇の踊り場の後、贅肉を減らしたコスト構造がプラスの営業レバレッジを働かせる、サイクル初期の性格を強めているのだ。」
営業レバレッジとは、固定費の働きによって増収率より高い増益率が実現する効果のこと。
たとえば、設備投資を行い人を減らす場合、売上が増勢にあれば、利益はより高い率で増えることになる。
「ローリング・リセッション」の間、米企業は贅肉を落としてきており、それが新たな景気サイクルに入る段階で恩恵をもたらすという見方だ。
ウィルソン氏は、4月の悪いニュース「解放の日」が底打ちとなり、それまでの「ローリング利益後退」から「ローリング回復」へと転換したと見ている。
これが意味することは何か。
つまり、毎年季節的に弱くなる四半期には、押し目買いが有効になるだろうということだ。