モルガン・スタンレーのセリーナ・タン氏は、原油高がスタグフレーションを引き起こす場合、株式と債券の相関が正の相関に変化しうると注意喚起している。
株式と債券の間で典型的な負の相関は、かなり簡単な経済パターンに依存している:
経済成長とインフレが同じ方向に動くというパターンだ。・・・
原油価格によるショックが持続すると(パンデミック後と似た)状況が再現する可能性がある。
原油高が経済活動の重しとなる中で、インフレを押し上げうる。
経済学者がスタグフレーションと呼ぶ組み合わせだ。
タン氏が自社ポッドキャストで、イラン紛争が株式・債券の相関関係に変化を及ぼしうると注意喚起している。
同氏は、世界がパンデミックから回復した2021-23年、株式と債券の両方が売られ60:40ポートフォリオが劣悪なパフォーマンスに終わった原因について
債券: インフレを恐れた
株式: 経済鈍化を恐れた
と説明した。
つまり、債券市場・株式市場はそれぞれスタグフレーションの片面を恐れて下落したわけだ。
タン氏は、現状まだ株式と債券が概ね逆相関にあるものの、長短で挙動に差が見られると指摘する:
2年など短期: 強い逆相関
30年など長期: 逆相関が弱まっている
同氏は、イラン紛争がイールドカーブのベア・フラットニング(主に短期側が売られて(≒利回り上昇)カーブが平坦になる)を引き起こしたと指摘する。
ベア・フラットニングが起こる典型例は、高インフレや景気過熱の懸念のために短期政策金利の見通しが上振れするケースだ。
原油高で景気過熱という話はないだろうから、今心配されているのはインフレの上振れ懸念だろう。
これがFRB利下げ観測を後退させたのだ。
実際CME Fedwach Toolによれば、市場による6月FOMCまでの利下げ幅予想の最頻値は1か月前の1回(25 bp)から現在0回へと縮小した。
「インフレ上昇と成長鈍化、どちらのリスクが優勢だろうか?」
タン氏は視聴者に問いかけているが、悪化のリスクを言うなら答は自明だろう。
ただし同氏は、債券銘柄の選択(文脈からするとデュレーションの選択)によって分散効果を下支えできる可能性にも触れている。
タン氏の示唆は、分散投資によるリスク管理を重視する立場を前提としたものだ。
仮に読者がリスクをいとわないギャンブラーなら、こうした検討は無用となる。
インフレ上昇と成長鈍化の懸念が高まる場合と同様、両方の懸念が減る場合も株式・債券は正相関となりうる。
後者の場合、正相関でともに上昇圧力となるなら大喜びだ。
(もっとも、ギャンブラーなら初めから株式100%の方を選択しているだろう。)
逆に読者が分散によるリスク低減を重んじる投資家なら、こうした相関の検討は有用となるだろう。
