バブルの研究家としても有名なGMO共同創業者ジェレミー・グランサム氏が、近年の米国株市場が極めて高い水準にあると指摘し、個人投資家に対し個人投資家であることの優位性を生かすよう説いている。
「真剣に株式の価値を測れば、現在が米国株市場史上で最も株価の高い市場であることがわかる。
これは長期リターンにとってよい兆候ではない。」
グランサム氏がMaster Investorのポッドキャストで、足下の米国株市場の高値感について言及した。
このポッドキャストはNVIDIAが史上初の株式時価総額4兆ドルを達成した翌日に行われている。
同氏は、一般投資家についてアドバイスを求められ、いつものように率直な意見を述べている。
彼らは多くの優位性を持っている。
私と友人が『アマチュアの優位性』と呼んでいるものだ。
彼らは(機関投資家のような)キャリアのリスクにさらされていない。
裏を返せば、機関投資家はキャリアに関し大きなハンディを背負っているというわけだ。
グランサム氏は、機関投資家の役員・従業員が「どんなに市場が割高だと思っていても、会社の望むように行動せざるをえない」と明かした。
機関投資家の多くは主たる収入の多くを信託報酬など手数料に依存している。
一部成功報酬もあるが、それにしても投資残がないことには発生しない。
結果、どんな状況でもダンスを続けることが求められる。
彼らと顧客である投資家の利害が一致するとは限らない。
「多くの年金基金の運用者が2000年にこれを経験した。
彼らは(ドットコム・バブルが)終わりかかっているのに気づいていたが、彼らのボスを喜ばせる仕事を続けざるをえなかった。
そして今もある意味で史上最も楽観的な市場だ。」
グランサム氏は市場の楽観の一例として暗号資産にも言及した。
「配当もなく、食べられもせず、薪にもならず、トレード以外の役に立たない」と指摘し、こうしたモノが盛んに売買されることこそ投機的市場を指し示していると話した。
グランサム氏は、投資すべき資産クラスを尋ねられると、2000年との相違点を説明している。
2000年には不動産、債券、物価連動債などが安かったと話し、現在はそうでないと暗示した。
このため、リスクを取れる人には外国株のポートフォリオ(欧州、カナダ、オーストラリアほか)、リスクを嫌う人には現金の保有、あるいはそれらのミックスを奨めている。
個人投資家に対しては、一歩引いて、データを見るよう勧めたい。・・・
過信と大金で稼いでいるプロや業界に騙されて、楽観しすぎないように。
月まで届くようなバブル的な振る舞いの兆候がないか注意しろ。
歴史と同様、過去数年それが見られたが、これはそうそうあることではない。
自分の頭で考えろ。
それが嫌なら、外国株と現金を持っておけという私のアドバイスに従うことだ。