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不均衡を積み上げてきた「甘い考え」:レイ・ダリオ

もちろん、こうした見方を受け入れるにしても、最後に時間軸の問題が残る。
変化を正しく予見したとしても、多くの場合もっと重要なのは、それがいつになるか、だ。
ダリオ氏は「瀬戸際」といった差し迫った感覚をもっているようだが、どんな天才でもこうした大きな予想をタイミングまで言い当てることは難しい。
(だだし、同氏はリーマン危機をほぼ言い当てている。)


今回のSNS記事で興味深いのは、日本が最もつらい点に触れてあるところだ。
中国はすでに行動を始めているが、日本はただただ立ちすくんでいる点だ。

誰かが米国にモノを売って、金を貸し、その対米債権をハードな(つまり減価しない)ドルで回収しようと考えるのは甘い考えだ。
だから、他のプランを考えなければいけない。

昨年5月に発表された2023年末の日本の対外純資産残高は471兆円。
日本は世界最大の対外債権国だ。
これは円高防止のために低金利政策を継続し重商的な経済政策を続けてきた賜物である。
資産サイドも負債サイドも証券投資が最大の項目になっている。
資産側の証券投資617兆円のうち過半は米ドル建てだ。

こうした純資産の多くはいわば純輸出の代金が積み上がったもの。
この積み上がりについて、減価しない「ドルで回収しようと考えるのは甘い考え」だと言われているわけだ。
多く括りに言えば、道は2つ。
何も考えないなら、減価していくドルで回収する、つまり、ドル安という後付けの値引きに応じるのが一法。
(この場合、これまでの日本のささやかな繁栄には幻影の部分が大きかったことになる。)
もう1つは貨幣でなく実物資産で回収することだろうか。
例えば、米国に広がる広大な土地(多分砂漠など)や兵器や軍事サービスで返済を受けるということだろうか。
いずれも全然嬉しくないところが笑えない。


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