2025年の日経平均の年間リターンは26%超、TOPIXは22%超。
日本株は米国株を為替換算後でも上回っている。
一方で《gold建て》で言えば、下落したことになる。
鮮烈なのは、米国株の価値ベース、あるいは、為替換算後ベースでの大敗だ。
「米国株に対し
欧州株は23%、
中国株は21%、
英国株は19%、
日本株は10%
アウトパフォームした。」
「新興国市場株式は全体として好調で34%、
新興国市場のドル建て債務は14%、
新興国市場の現地通貨建て債務は全体としてドル建てで18%
のリターンだった。」
2025年は米国株が大負けした年だったことがわかる。
これらパフォーマンスの相違から、ダリオ氏は「大きなフローや価値の変化、米国からの富の流出があった」と総括している。
貨幣錯覚が心配されるのは米10年債も然り。
「昨年の米10年債のリターン(訳注:トータルリターン)は
ドル建てで9%(利回りと価格で半分ずつ)、
円建てで9%、
人民元建てで5%、
ユーロ建てで-4%、
スイスフラン建てで-4%、
gold建てで-34%
だった。」
日米の投資家と欧州の投資家では、米国債の魅力に相当な温度差があったのではないか。
仮に米国債が本当に急激に魅力を失っている場合、日本人は貨幣錯覚ゆえにそれに気づけない可能性がある。
(ドルだけでなく円も安かったから、これは日本国債にも言えること。)
あるいは、政治家や官僚が国民の貨幣錯覚に付けこみ、間違った印象を与えてしまうかもしれない。
さらに深刻なのは、この問題が単に金融資産に留まらず、すべての国富・所得に及ぶ点だ。
自国通貨が低下すると、人々の富が減り、購買力が低下し、外貨建てで自国の財・サービスが安くなり、自国通貨建てで外国の財・サービスが高くなる。
まさに日本が今直面する問題だ。
長く長く続けてきた円安誘導はいわば国ぐるみでの安売り戦略であり、その結果、生身の人間の購買力が奪われる。
もちろんインバウンド消費など一部にボリューム増をともなう成果もあるが、多くは輸出企業などの利ザヤに吸収される。
その裏側で、幅広い消費者が大きなコストを支払うことになる。
(次ページ: ダリオ氏の米国株・債券見通し)
