もう一度、レイ・ダリオ氏が金融資産の生まれた14世紀以降の歴史から抽出した債務の「ビッグサイクル」を復習しよう。
上昇の波では債務が増え、
金融資産・負債が有形資産と比べ増え、
ついに将来支払う約束(つまり現金、債券、株式の価値)が果たせない点に達する。
これが『取り付け』のような債務問題を生じさせ、
それが債務不履行や株価下落の問題を和らげるための貨幣増発を促し、
それが貨幣の価値低下をもたらし、
金融資産の実物資産に対する価値を下げる。
これは金融資産の実質(インフレ調整後)価値が有形資産と比べて低い水準まで戻るまで続く。
そして新たなサイクルが始まる。
つまり、資産・負債の膨張とともに金融資産が実物資産よりはるかに増えてしまい、その後反転しもとに戻るプロセスをもって、1つの「ビッグサイクル」と見ているのだ。
ピークがどこか、その後いつまで収縮が続くかは別として、今後そういう展開が起こると示唆しているのである。
ダリオ氏は、こうした貨幣の価値が低下しうる局面で投資家が注意すべき点を挙げている。
投資家が定期的に自問すべき最も重要な点の1つは、支払われる金利が直面する貨幣減価リスクに見合っているかにある。
ダリオ氏は、執筆時点(おそらく2020年)で米・欧・日の準備通貨の国債の実質利回りが史上最低に近かったと指摘している。
その後、米・欧は急激なインフレに対処するために利上げを行い、インフレは鎮静化に向かいつつある。
一方、今や先進国でも最も高インフレの部類に入る日本では利上げがさほど進まず、高インフレでも実質政策金利はマイナスのままだ。
私たちは近年、この差を自分のこととして思い知っている。
