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レイ・ダリオが匙を投げ、諦観に至ったワケ

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏についての前回記事では、同氏のトーンが変わった、諦観が感じられると書いた。
その背景が、昨日公表されたショート・ビデオでクローズアップされている。

ビデオは自動翻訳付きであり、理解可能なレベルで訳されているので、原典を聴いてみるといい。
同氏がワシントンを訪問し、共和・民主両党の幹部と面談した結果が端的に紹介されている。

ダリオ氏は以前から、米財政赤字を対GDP比3%に抑えないと米経済が「死のスパイラル」に陥ると警告してきた。
今回の面談でも、ダリオ氏の主張する3%に両党とも同意したという。
しかし、それでも議会は動かなかった。
財政悪化が必至となる「大きな美しい法案」(修正案)が1日に上院、3日に下院で可決された。
4日の独立記念日に大統領署名により成立する見込みだ。

ダリオ氏は両党幹部らに「なぜ3%への削減、あるいはその約束ができないのか」と詰め寄ったという。

彼らは絶対主義的政策が必要とされていると説明した。
つまり、『絶対に増税をしない、あるいは、絶対に給付削減をしないと約束する』といった話をしなければならないのだという。
これは『私たちが迎えそうな金融クラッシュでなく、よりよい状況を実現するために、絶対に現在の軌道を変えないと約束する』と言うようなものだ。

政治家は、現在の軌道ではクラッシュが起こりそうなことを理解しているのに、絶対に現在の軌道を変えないと約束しているのだ。
そして、それがよりよい結果を生むと言い張っていることになる。
そうしないと選挙民や党によって議会から追い出されてしまうというのだ。

みんな、この債務問題の帰結について同じ意見なんだ。

不屈の闘志を持つダリオ氏をして諦観に至ったのにはこうした背景があったのだ。
危機の原因を緩和・解消しようと政治に働きかけても動かない。
ならば、人々は投資家として自ら身を守る術を講じざるをえない。

(次ページ: 日本の後を追う米国)


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