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リスクプレミアム縮小が迫るポートフォリオの「進化」:モルガンスタンレー

セリーナ・タン氏は、様々な資産へ投資するポートフォリオに対し、リスクプレミアムの低下が何を意味するのかを端的に話す:


株式やクレジットのリスクプレミアムが低下すれば、それが正当化されるかどうかによらず、投資家のマルチアセット・ポートフォリオに対するとても興味深い示唆を与える。
効率的フロンティア(ある一定の水準のポートフォリオのリスクに対して可能となる最良のリターン)がシフトした。
現在は過去数年よりフラット化し、低下した。
つまり、ポートフォリオでより大きなリスクを取っても必ずしも以前ほどにはリターンが高まらないということだ。

少々難しい話になっているが、ここで言いたいのは

様々な資産クラスでリスクプレミアムが低下
そういう場合、資産クラス間の相関は高まりがち
分散が効きにくく、効率的フロンティアがフラット化
CAPMの直線がフラット化
リスクテイクに対する報酬が小さくなる

といった話だろうか。
もっとも、難しい理屈を理解しなくとも、リスクプレミアムの低下がリスクテイクに対する報酬を減らすことは(定義から言っても)容易に想像できる。

タン氏は、過去数年うまく機能してきた株式60/債券40のポートフォリオの今後にも触れている:

「60/40ポートフォリオは、過去の平均リターン9%前後に対し、今後10年では年率6%程度のリターンしか予想していない。
重要なのは、AIの進歩により株式と債券が従来より同期しうることだ。
もしもそうなれば、投資家は伝統的な60/40の割合よりも株式への配分を増やすことで恩恵を得られるかもしれない。」

タン氏は投資家に対し、リスク、リターン、相関がどのように変化するかを理解し、ポートフォリオ配分を「進化」させるべきと書いている。

この推奨のロジックには何も間違いはない。
ただし、投資家にとっては大きなジレンマが待っている。
タン氏は、リスクテイクを増やしてもリターンは高まらないと言いつつ、株式への配分を増やすべきかもしれないと暗示している。
投資家は、リスクプレミアム(リスクテイクに対する報酬)が小さくなる時、果たしてリスクテイクを増やすべきなのか、真剣に考えないといけない。


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