ビル・グロス氏が、トランプ大統領の錬金術について危機感を表明している。
投資の結論?
もっといいリスク/リターンのチャンスがある。
グロス氏が30日ビットコインについてツイートした。
多くの読者にとって何の驚きもない意見だろう。
ただ、機関投資家を引退後、莫大な個人・財団資産をクロスアセットで運用している《債券王》が、リスク/リターンで劣っていると話していることには相応の意味があるかもしれない。
グロス氏は、ビットコインが民間・政府で利用されていることから、ビットコインに何らかの価値がある点は認めている。
(トランプ・コインよりはマシと書いている。)
その一方で「本質的な価値の測定が困難であり、過大なボラティリティに晒されている」と、投資対象にしない理由を書いている。
ビットコインは「ほとんどが『ミーム株』の世界」だとも述べている。
そう言えば、かつてのミーム株バブル等で、グロス氏はボラティリティの売りで稼いでいる。
グロス氏のビットコインに対する投資対象としての評価は至極オーソドックスかつコンサバティブなものだ。
むしろ、このツイートで重要なのは、それがシステミック・リスクに関係しうるとの指摘だ。
全体の2.5-3%を保有すると見られるストラテジー(元マイクロストラテジー)の他、ゲームストップやトランプ・メディア&テクノロジーなどがレバレッジをかけてビットコインを購入している点を問題視している。
いかなる資産カテゴリーでも高いレバレッジを用いれば、その資産自体へのリスクとなるだけでなく、金融システム全体へのリスクとなる。
時期を予想するのは難しいが、サブプライム・ローンを思い出すべきだ。トランプは自身と家族のために金儲けをしているが、それが将来の金融安定にリスクを及ぼしている。
トランプ大統領がオーナーのトランプ・メディア&テクノロジーは30日ビットコイン購入を目的として24.4億ドルの資金調達(増資と転換社債発行)を行っている。
ストラテジーの戦略に倣ったものと見られる。
ショートセラーのジム・チャノス氏は先月のインタビューで、ストラテジー株をショートし、ビットコインをロングしていると話していた。
ストラテジーの錬金術が巻き戻すことを見込んでのロング/ショート戦略である。