オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が「プライベートクレジットで何が起こっているのか?」と題するMemoを9日に公表した。
タイトルとは裏腹に、このMemoではプライベートクレジット以外の部分が興味を引いた。
まさに裏腹に、だ。
「決してオークツリー/ブルックフィールド(訳注:オークツリーの親会社)を徳の高い投資の模範だと言いたいのではないし、完璧だとも言わない。
そうでなく、優れた投資とは全知全能や完璧な意思決定から生まれるのではなく、他の人たちの意思決定より良い意思決定から生まれるものだ。」
プライベートクレジット・ファンドで取り付けと引き出し制限が広がる中で、マークス氏が自社の取り組みを説明している。
ディストレスト投資の草分けとして、プライベートクレジットにも長く取り組んできたが、大きな問題は生じていないと示唆したいのだろう。
いくつか理由を挙げている:
- 過剰な投資を避けてきた
- リスク/リターンへの魅力が薄いとして直接融資には注力しなかった
- 規模を追わなかったことで投資先・担保を厳選できた
- 一般投資家向けへの販売を小さく限定してきた
要は、プライベートクレジット全体が悪いというより、良い融資、悪い融資が混在するということ。
さらに、その結果として良い運用者による良いファンド、劣る運用者による劣るファンドが存在するということだ。
マークス氏は、最近の「高まった猜疑心」が今後のプライベートクレジット案件の魅力(リスク/リターン)を改善するだろうと予想している。
重ね重ね残念なのは(ハイイールドでもそうだが)優れた運用者による良いファンドがほとんど一般投資家に向けて販売されていないことだ。
マークス氏の指摘を信じるなら、ある資産クラス全体並みの魅力しかない投資商品(このレベルの商品はETFや非上場投資信託でも多く見られる)への投資は、環境次第では得策でないことになる。
ファンドを厳選したくても、良いファンドは一般投資家まで回ってこないものなのだ。
(もしも《あなたには特別に良いファンドをお売りします》といったセールストークで売りに来る人がいたら、よほどあなたが特別の存在でないかぎり偽りだ。)
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