シーゲル教授はセクター/ファクター/銘柄選別についてアドバイスを求められているが、その答えは「感度の低い資産クラス」とやや抽象的なものだった。
(教授はミクロでなくマクロの専門家なのでしかたがない。)
その中で、引き続き、配当株、とりわけ安定配当の銘柄を奨めている。
配当株は景気と逆相関の関係にあり、トランプ関税により景気後退入り確率が上昇しているためだ。
シーゲル教授は、今後市場のEPSはある程度低下を逃れられないと見ており、それにともないDPSも引きずられるだろうと覚悟している。
景気が悪化すれば金利は低下する。
配当利回り低下と金利低下が比較されることになる。
景気悪化でもある程度の安定配当を続ける銘柄が極めて有望になるというのがシーゲル教授の読みだ。
さらに、シーゲル教授はベータの高い銘柄にも長期投資のチャンスがあるという。
「(戻しがあるなら)最も売られたリスク資産でまず起こる。
ベータの高い資産は常に最初に急騰する。
ボラティリティは高く、これを乗り越えれば素晴らしい長期保有資産になる。」
シーゲル教授は同番組の他の出演者(いずれもウィズダムツリーの運用者)に、現金・債券に逃げるデメリットを話している。
「(当面)2月の高値に戻すことはないだろうが、大きな戻しはいつでも起こりうる。
トランプのツイートは事前に全く検閲されたりチェックされたりしていないように見えるからだ。
・・・
投資家に資金を現金・債券に移させれば、1つのツイートで10分の間にダウ平均にして2,000ポイントを逃すことになりかねない。」
シーゲル教授は、日欧への分散についてもコメントしている。
- 欧州: 過度の規制、イノベーション不足、米国への過度の依存から今目覚めつつあり、ポジティブ。防衛産業。
- 日本: 「日本について現時点で先を見通すのは難しい。
日本株は合理的な水準にある。
日本は最も古い社会の1つで、かつて有した魔力を取り戻そうとしている。」
シーゲル教授には、株式市場に暗雲が漂うようになると、決まって強調することがある。
教授が半生をかけて説いてきた長期投資の重要性である。
株式を他の資産クラスと比較し、株価が下落していても株式市場に留まるよう説いてきた。
今回もその信念を語っている。
一番大切なのは、投資家を市場に留まらせることだ。
ローテーションしたり、分散しつつ配当株に重点を置いたりしてもいい。
投資家の短期変動への感度によっては、ベータがマイナスの債券に逃げたいとの誘惑もあろう。・・・
しかし、強調すべきなのは、債券がすばらしい長期投資ではなく、これまでも決して素晴らしいことがなかったということ。
この高ボラティリティの期間が終われば、米国は財政赤字とインフレ等に対処しなければいけない。
債券利回り3%が継続するとは思わない。