Bloomberg内のデービッド・ルーベンスタイン・ショーでMCを務めるルーベンスタイン氏はインタビュワーとしても定評がある。
何度もレイ・ダリオ氏に厳しい見通しの中での投資戦略を尋ねている。
ダリオ氏は、心配すべきはスタグフレーション的な環境だと話す。
理由として、インフレが米国だけの問題でなく多くの国で懸念されている点を挙げている。
ダリオ氏の推奨は概ね従前どおりのものだった。
- 投資リターン: インフレ調整後リターンで考えること。
- 米物価連動債: インフレのリスクをヘッジしてプラスのリターン。
一般の投資家は物価連動債に投資すれば、分の悪いゼロサム・ゲームに参加する必要はない。 - 分散: 物価連動債と金を含めて分散を。
- 金: 1750年以降、80%の通貨は消滅し、残った通貨も大きく減価した。これが価値の保蔵手段として金が用いられてきた一因。
- 不動産: よいアイデアではない。インフレより金利への感応度が高く、課税されやすく、携帯できない。
現在、米物価連動債利回りは5年で1.5%超、10年で2%超とプラス圏にある。
インフレをヘッジし、さらにプラスのリターンを与えてくれる。
一方、日本の物価連動債利回りはいまだマイナス圏にある。
「金利を無理に引き下げ」てきた結果、物価連動債をもってしてもインフレヘッジが可能にならないのが現状なのだ。
日本のこうした状況では物価連動債だけでなく名目債でも需要が減退するのは当然の成り行きだろう。
ダリオ氏の金への思い入れの強さは、ダリオ家の異様なルーティンにも表れている。
ダリオ氏は、クリスマスや誕生日ごとに孫に金貨をプレゼントするのだという。
これにはルーベンスタイン氏が的確に突っ込んでいる。
ル「おもちゃはなくて、金貨だけ?」
ダ「おもちゃも上げるけど、金貨も上げるんだ。」
インタビューの最後には、さまざまな角度から投資戦略についてしつこく質問するルーベンスタイン氏にダリオ氏が反撃している。
ダ「質問を返させてくれ。君はどう思うんだ?」
ル「僕は投資家として君ほど優れていない。」
ダ「うまく逃げるんだな。」
ル「みんな僕に言うんだ。『君はレイ・ダリオを知らないのか?』ってね。」