偶然かもしれないが、最近のジェレミー・シーゲル教授のポッドキャストでは米国株だけでなく暗号資産や金への言及の時間が長くなっている。
これは深読みすべき変化なのだろうか。
「私はまだ強気だ。
開示されている企業利益はかなり印象的だ。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、堅調な企業利益を理由として強気スタンスを継続した。
ただし、株式への時間配分は全体からすればほんのわずかだ。
シーゲル教授は、米市場で心配視される信用不安について「完全に過剰反応」と斬って捨てる。
大銀行の業績は絶好調であり、信用不安が他の市場セグメントに波及する兆しも今のところ見られないためだ。
教授は、プライベート市場では警戒モードに入るだろうと予想しつつも、資金が公開市場に回帰するなら歓迎すべきとし、「一般の金融システムの脅威になることは絶対ない」と語った。
10月28-29日予定のFOMCについてシーゲル教授は、現状のままなら25 bpの利下げになると予想した。
関税によるCPI上昇は判断に影響しないと見ている。
一方、さらに悪材料が出てくれば50 bpで経済・市場を支えるだろうとも予想している。
このところ暗号資産への言及が増えているシーゲル教授だが、このポッドキャストでも最近の暗号資産の下げについて解説している。
暗号資産が売られるケースのいくつかでは、分散のための資産クラスとしての暗号資産への失望がある。
ポートフォリオの分散に寄与すると期待して組み入れたのに、他のリスク資産と同方向の動きを続けることに、少なからぬ投資家が失望したとの解釈だ。
ただし、シーゲル教授は、この見方が短期的なもので、長期的にはまだわからないと前向きな含みも残している。
逆に、分散のための資産クラスとしての働き以上を見せている金について、シーゲル教授は興味深い解釈を述べている。
ヘッジファンドらが、ドルなど法定通貨でなく金や銀に連動するステープルコインの需要拡大を期待しているというのだ。
これは文字通りデジタル・ゴールドだ。
その期待で買われている面もあり、それが金を押し上げており、まだ上昇すると考えている。
さらに、上述の信用不安と関連し、米国債についてもリスクヘッジの観点から言及している。
「疑う余地なく、米国債は信用リスク問題に対する完璧な分散資産だ。・・・
信用不安が収まれば、利回りはおそらく4.00-4.25%レンジに上昇するだろう。
基本的に、これら信用リスクのために10 bpほど低下している。」
最近のシーゲル教授は株式より他の資産クラスへの言及を増やしている印象がある。
意識してか無意識のうちにかリスクヘッジへの関心が強まっているのかもしれない。