ジェレミー・シーゲル教授の強気が今日も止まらない。
米経済がしばらくの後上振れすると予想し、暗号資産にも言及している。
「貿易赤字は予想以上に壊滅的だ。・・・
私は(関税騒ぎがなければ)今四半期のGDP成長が4%だったと考えている。
第1四半期もマイナスではなかったはずで、推計エラーだろう。
両四半期で2%、2%だったはずだ。
・・・最終的には4%になるだろう。」
シーゲル教授がウィズダムツリーのポッドキャストで、米経済成長が市場予想より上振れすると予想した。
シーゲル教授が注目するのは、トランプ関税による駆け込み輸入がGDP推計に与えた影響だ。
これが一時的にGDP成長率の重しになったが、今後しばらくかけ輸入で積み上がった在庫が消化していけば実力相応の水準に戻るとの見方だ。
シーゲル教授は30日発表の米PCE物価指数にも明るい兆しがあると指摘する。
コア指数で前年同月比2.5%上昇、総合指数で2.1%と、いずれも市場予想かわずかに下回る水準。
前月の数字よりいずれも0.2%ポイント低下し、インフレは鈍化傾向だ。
教授は、これによりFRB利下げへの圧力が強まるだろうと予想している。
シーゲル教授は、不安材料として、米中通商交渉の進捗が思わしくない点を挙げた。
実際、トランプ大統領は30日SNSで中国を非難し、緊張再燃の懸念から同日のS&P 500は一時1.1%超下げる場面があった。
その後、大統領が習主席と会談する意向と伝わると、終値では前日比-0.01%まで戻している。
教授は、今後の推移を注視すべきと話している。
このポッドキャストで興味深かったのは、シーゲル教授がビットコインとステープルコインについて言及しているところだ。
教授は従前、決して暗号資産に対して前向きではなかったが、今回はややトーンが異なっている。
それは、シーゲル教授が今後期待する金融規制緩和について言及した時のことだった。
「金融機関には過大な規制がかけられている。
それがビットコインが流行った一因だろう。」
金融機関への行き過ぎた規制、平日9時-3時の営業時間では、24時間365日のサービスを求める顧客ニーズに対応できていないとの考えだ。
さらにシーゲル教授は、異なる視点から、ステープルコインについて、現在議会が検討する規制整備により普及が進むことを期待した。
ところで、私はステープルコインに前向きだ。
今取り組まれているよりもっと早く動くべきだった。
そうなれば、今後米債務の大口保有者となりうる。
米ドルを裏付けとするステープルコインが普及すれば、米債務への需要が増し、米政府の借入れ余力が拡大するとの読みのようだ。
シーゲル教授は、先日は、AIによる生産性上昇に期待していた。
以前ほどではないが、教授の財政問題、それによる長期金利上昇圧力への心配は払拭されていないのだろう。