ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、米経済・市場について慎重な見方を語り、外国資産への投資を促している。
「奇妙なことに、2014年以降のインフレ率のパターンは1970年代のインフレにかなり似ている。
これが続かないことを祈る。
もしも続くなら、インフレ率加速が今にも始まることになるからだ。」
ガンドラック氏が「サバイバー」と題したウェブキャストで、近年のインフレ率推移について1970年代との「不気味な一致」を指摘している。
ガンドラックが示したのは2本のインフレ率グラフ。
2014年と1965年を起点として始まり、2020年と1970年の底から急騰が始まる。
2022年(9%超)と1973年(8%弱)に大きなピークを迎えて急低下、1975年(2024年と重なる)に底を打っている。
1970年代は再度インフレ率が急騰に転じ、1978年(2027年と重なる)により高いピーク(10%弱)を迎える。
その後、ボルカーの荒療治でインフレが退治されることになる。
ガンドラック氏は1970年代の再現を予想はしないと述べているが、こうした連想が長期債にとってよい印象を与えないとも語っている。
同氏はまた、財政赤字対GDP比率(縦軸)と失業率(横軸)の間に負の相関があると示し、2016年以降回帰直線の左下に逸脱していると指摘。
今後、右上方向(財政赤字と失業率の悪化)にシフトする可能性を示唆し、長期債への投資を再検討するよう促している。
以下、その他注目ポイント:
従前から4,000ドルを予想している金相場について
「明らかに、金は多くの人たちにとって恒久的に配分すべき資産となったのだと思う。・・・
財政赤字や国際的資金フローの状況が米国に不利になっている現在とは全く異なるレジームの時代になるまで、まだ金を保有するつもりだ。
これは今後数年のトレンドとなるだろう。」
長年米国株をアンダーパフォームしてきた新興国市場株が今年に入ってアウトパフォームに転じたことについて
「(新興国市場は)長期的なアンダーパフォームを続けてきた。
現在ドルが系統的に弱くなっており、FRB利下げに連れ続くものと考えている。
新興国市場が本格的にアウトパフォームを始める可能性がある。」
米国株・米ドルについて
興味深いのは米国がアンダーパフォームを始めたことであり、その理由はマネーが米国から離れていっているためだ。
2006-24年には・・・ネットで22兆ドルが諸外国から米国に流入し、22兆ドルの流入で市場は上昇した。
しかし、マネーが流出する場合、それが始まった可能性があるが、明らかに近時、投資ポジションがかなり収縮している。
これはもちろんドル資産の売却を意味し、外国資産のアウトパフォームをもたらすだろう。
ガンドラック氏はドルベースの投資家に対し新興国市場株式・欧州株式への投資を推奨している。