ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、米長期金利に加わる上昇圧力を指摘し、さらにその先にイールドカーブ・コントロールを予想している。
これは織り込めない大きな条件になるが、政府が介入しイールドカーブ・コントロールを実施しない限り、長期国債は経済リスクやリスクオフ環境に対するセーフヘイブン(安全な場所)にならないだろう。
ガンドラック氏がUBSのポッドキャストで、長期金利の下げ渋りを予想した。
すでに米金利の趨勢的低下局面は終わったと述べた他、「米国債市場では84%が償還まで1年以内」と紹介、短期化した米政府の資金繰りに懸念を呈した。
この心配は当然、通貨ドルにも及ぶ。
2000年ぐらいまで遡っても、株式の調整はドル高をともなっていた。
質への逃避が起こったからだ。・・・
しかし、今年前半の株式の調整局面ではそれが起こらなかった。・・・
過去13回の調整で初めてドル安だった。
つまり、経済・市場がくしゃみをするようなら、長期債やドルが売られかねないという示唆だ。
従来、リスクオフの局面ではドル高や円高が起こることが多かった。
ガンドラック氏の言う「セーフヘイブン」という説明も当たっているし、角度を変えれば、米国や日本からそれ以外の地域への投資の巻き戻しもあったのだろう。
結果、ドル資産や円資産は名目価格が下落しても通貨高の分だけ実質的な価値の下落は低減されていた。
ガンドラック氏の予想が当たるなら、ドル資産についてその恩恵が見込めなくなることになる。
ガンドラック氏の読みは、さらに1歩先を行く。
状況が切迫しているがゆえに、戦後行われたような長期金利の統制、日本流に言えばイールドカーブ・コントロール(YCC)が再現しうるというもの。
その場合は、長期債が急回復(長期金利が急低下)することになる。
このため、ガンドラック氏は、3年債、5年債を選好し、30年債はアンダーウェイトかショートしているという。
10年債はYCCの可能性から様子見といったニュアンスだ。
その他、資産クラスへの注目発言:
- 外国株: 欧州株・アジア株が為替換算後で米国株をアウトパフォームしている。
ドル安予想と高バリュエーションのため、米国株でなく外国株がよい。 - 新興国市場債券: 3か月ほど前、リスクを好むポートフォリオで初めて取り組み。
ポートフォリオの20%から35%配分すべきで、20-25%は現地通貨建てとすべき。 - フィクストインカム: リスクプレミアムが歴史的小ささ。大きなリスクオフ・イベントがない限り続きそう。
質の高いもので待機中。 - MBS: 4か月前ほどではないが、まだ選好。住宅問題のための政府介入(おそらくQE)を予想。
- 実物資産: ポートフォリオの20-25%持つべき。
銀・金以外のコモディティは機能してない。エントリーには高すぎるが、金・金鉱株を保有継続。
土地は住宅地でなく農地。