モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、自身の読みが少数派であるのを認めつつ、新たな強気相場予想について今後の展開を語っている。
ほとんどの投資家は、来年の経済と企業利益の伸びが、私が考えるように予想を上回るのではなく、下回るというリスクを信じている。
私の考えの中心にあるのは、コロナとその危機から抜け出すためのヘリコプターマネー実施以降、インフレ・レジームが確立されているということ。
過去20年間で生み出された莫大な債務・財政赤字問題から抜け出すため、政府は(経済・インフレを)過熱せざるをえない。
ウィルソン氏が自社ポッドキャストで、従前からの強気予想の主たる根拠を説明している。
同氏は4月の「解放の日」を底として、米市場が新たなサイクルに入った(つまり強気相場が開始した)との見方を繰り返してきた。
その背景には、深刻な財政問題を抱える米政府がインフレと経済成長による債務負担軽減を進めるとの読みがある。
ウィルソン氏は、米経済が1980年代以降のディスインフレのレジームからインフレのレジームに転化したと見ている。
それが示唆する変化は何か。
それは、景気・市場サイクルの短期化だ。
米国では《景気はFRBが殺す》との言葉があるとおり、インフレが昂進し、FRBがインフレ退治すると、景気・市場が悪化する傾向にあった。
ディスインフレの時代にはインフレ退治というトリガーが引かれる機会が少なくなり、サイクルは長期化していた。
ウィルソン氏は、2020年のパンデミック以降「2年の上昇サイクル、その後1年の低下サイクル」という循環が戻ってきたとし、現在は「2年の上昇サイクル」の途上にあると考えている。
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