マクロ投資の第一人者、レイ・ダリオ氏はかねてから一般投資家にも金保有を奨めている。
同氏の考え方はどうだろう。
レイ・ダリオ氏は半ば消去法で金を推奨
金がお金であること、減価したり没収されたりするリスクが最も小さなお金であることは、私にとっては紛れもない事実だ。
ダリオ氏が自身のSNSで、従前どおりの金に対する積極的なスタンスを表明した。
同氏のポイントは次の通り:
- 多くの通貨が消えていく中、金は何千年もわたり通貨と評価されてきた。
- 没収されにくい。
- 購買力の維持の観点から最も優れている。
- 利息を生まず、長期的にはパフォーマンスの劣る資産。
(お奨めはしないが)マーケット・タイミングのゲームを楽しもうとするなら、債務性の紙幣(訳注:短期債券等を指すものだろう)保有にともなうデフォルト・減価のリスクに見合うほど金利が高い時には債務性の紙幣を保有すればよい。
金利が債務性の紙幣の減価・デフォルトのリスクに見合わない時には、金を保有する方が賢明だ。
ダリオ氏は投資運用において、金を他の資産クラスと同様の観点で扱っているという。
「他の資産との比較において期待リターン、リスク、相関、流動性を見て、戦略的な資産配分ミックスを実現している。
その後、市場に影響する出来事に基づいて、そのミックスに戦術的な変化を持たせるようにしている。」
念のため復習しておくが、戦略的とは長期投資のイメージであり、戦術的とは短期トレードまたは投機的試みのイメージだ。
ダリオ氏は、金を買うことの本質は長期投資にあると考え、その時期その時期の環境変化に合わせて短期的な変化を持たせているのだ。
同氏は、この点に関し、多くの金購入者とは異なっているとの認識を持っている。
現在金相場を押し上げているのは投機的買い手が多いとの含意だろう。
ダリオ氏は、金に対し戦術的なアプローチで臨むのを奨めていない。
それがマーケット・タイミングであり、その能力を有しているのは全体のほんの一部に過ぎないからだ。
同氏は、戦略的(長期)な保有を奨め、ポートフォリオにおける最適な構成比を5-15%と書いている。
このレンジの中で、その時期その時期の環境に合わせて増減させるべきという。
最近の発言では15%の構成比を奨めているから、現在は「金利が債務性の紙幣の減価・デフォルトのリスクに見合わない」状況と考えているのだろう。
私が伝えたいのは、基礎的なお金として金を考え、少なくともいくらかは保有すべきということだ。
ほとんどの投資家は金を全く保有していない。
2人の意見にはいくつか相違もあるものの、最も重要なメッセージは似通っている。
金をミーム株のように投機の対象とするのは危ういということだ。
 
										