投資

ケン・フィッシャーが教える、老後の投資回収のベストプラクティス

ケン・フィッシャー氏が、引退後の家計に充てる所得の受け取り方について説明している。


「私は多くの出会いの中でしばしば『引退後の所得を得る最良の方法は何か』尋ねられた。
答はこうだ: 『仕事に戻ることだよ。』」

フィッシャー氏が自社ビデオで、引退後の家計について話している。
上記の答は世間でよく聞かれる現実的なもの。
しかし、同氏によれば、もっといい方があるという。
それは起業することだという。
起業し、成功し、執行から退いてもオーナーとしての所得を得ることだという。

フィッシャー氏はそう言いつつも、すべての人が独立・起業を望むとは限らないし、事業が失敗しうる点を認めている。
そこで資本市場を用いた解決策となる。

あなたが株式を買えば、あなたは所得を生み出す事業を買うことになる。

起業というリスクをともなう大仕事の代わりに株式を保有すればよいというのだ。
ただし、現実的なフィッシャー氏は、株式保有のリターンが不規則で変動が大きくなりがちであることも承知している。
そこで同氏が「ホームメイド配当」と呼ぶ考えを奨めている:

  • 1-2年分の流動性をクッションのために別に確保しておく。
  • それ以外を投資ポートフォリオとし、主に株式に投資する。ボラティリティを嫌うならフィクストインカムを入れる。
  • そのポートフォリオから計画的に安定した「ホームメイド配当」を払い出し、家計に充てる。

これだけを読むと、当たり前のことのように思うだろう。
フィッシャー氏が言いたいのは、実際の配当・分配金・利子ではなく、仮想の「ホームメイド配当」を家計に払い出せと言うこと。
言い換えれば、払い出しの原資を配当・分配金・利子に頼るなということだ。

本当の配当でなく、この「ホームメイド配当」は実際に安く済む。
ポートフォリオの投資元本を充てることができるからだ。
・・・私が若いころは、投資元本には手を付けるな、と言われたものだ。
正解は、長期的に投資元本に手を付けることを計画しろ、であり、それこそ最もコストの安い方法だ。

フィッシャー氏がこう奨める理由は税負担にある。
投資家にとっては、配当を受け取るよりキャピタルゲインで投資回収を行う方が税負担が少なくて済むためだ。

少し理屈っぽくなるが、発行体の段階では《MM2+Tax》のモデルが答えを出してくれる。
発行体が資本コストに見合う事業プロジェクトを見出せる限りは、手元のキャッシュを株主に還元するより内部留保して事業プロジェクトに再投資する方が有利になる(課税繰り延べ効果)。
また、投資家(米居住者)の段階でも、配当とキャピタルゲインの税率が同じ場合でも、損益通算なども含め、キャピタルゲインの方が有利になることがある。
(日本の場合は、配当控除や損益通算の範囲などにより、後段の税務メリットが逆になることがありうる。)

米国においては配当を受け取るよりキャピタルゲインで取る方が有利と言われるのに、それでも配当を好む投資家が多い。
フィッシャー・ブラックはこれを「配当パズル」と呼んだ。
ケン・フィッシャー氏は、この「配当パズル」に囚われてはいけないと言っているのだ。
原資を配当・分配金・利子に求めれば税負担を増やしてしまうというメッセージだ。

資本市場にはボラティリティがあり、安定・一定のリターンは得られない。
だから、そこは調整しないといけない。
だから『クッション』を取っておくのだ。
でもそれ以外のポートフォリオは、元本から少しずつ規則的に取り崩して家計に充てるよう、よく計画することだ。

資産を形成していく段階でも投資家には優劣の差が出る。
それでも、みんな概して投資するプロセスには相応の勉強を欠かさない。
では、取り崩しの段階ではどうだろう。
ここでも同様に優劣の差があるはずだが、驚くほどそこに注意を払わない人が多い。
それどころか、日米を問わず、多くの人が税負担の大きな投資商品を好んでいるのである。


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