モルガン・スタンレー資産運用部門のリサ・シャレット氏が、米市場について慎重なスタンスを継続している。
株式市場の楽観とは対照的だ。
表面化では、はるかに複雑なストーリーが展開している。
シャレット氏が18日の自社ポッドキャストで、一通り足下の上げ相場の要因を述べた後、多くの懸念材料を列挙した。
- 上昇銘柄の集中
- 持つ者と持たざる者の歪み
- マグニフィセント7に偏る業績改善
- 企業が関税を負担し始めている可能性
- 関税負担が物価を上げるか、解雇を生む可能性(スタグフレーション)
- AIと生産性が期待どおり利益率向上をもたらすのか
- AIを除けばすでに鈍化していた設備投資が本当に増えるのか
- AI投資は供給能力過剰とならないか
あいかわらず、モルガンスタンレーのセルサイドとバイサイドの間の温度差は大きい。
セルサイドでは、米市場が新たなサイクル、強気相場に入ったとの見通しを強め、下げがあれば押し目買いを進めている。
一方バイサイドのシャレット氏は、慎重なスタンスを崩さない。
必ずしも、どちらかが正しくどちらかが間違っているという話ではない。
セルサイドのホライズンは概ね1年前後、バイサイドはそれよりはるかに長いホライズンを見つめている。
シャレット氏は引き続き選択投資の重要性を説き、いくつか個別セクター/ファクターに言及している。
- 売り: 小型株、赤字のテック株、人気だが質の低いミーム株
- 買い: 実物資産(金、リート、エネルギー、インフラ、コモディティ)。米大型クォリティ株から銘柄選別。中期の投資適格フィクストインカム、外国株(新興国市場を含む)、ヘッジファンド、プライベートのセカンダリー市場、アセットバック融資、ディストレスト
セルサイドと比べ小型株についてのスタンスが対照的なのが興味深い。
シャレット氏は、まだ新たなサイクルに入ったとは見ていないのだろう。