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ブル 【輪郭】2026年 3つのシナリオ

以下、シナリオの2)と3)についてもう少しイメージを述べよう。


暴落前か、暴落後か

またまたレイ・ダリオ氏の最近の発言「1970年代、1930年代と似ている」から発想を広げたい。
これらはどのような時代だったか。

  • 1930年代: プロビジネスとされたクーリッジ政権は《狂騒の1920年代》をもたらした
    そして、1929年退任後まもなく大暴落が起こり、大恐慌の一因となった。
    1933年からニューディール政策の下で大規模緩和・財政支出が実施された。
  • 1970年代: 戦争等による財政問題、ニクソン・ショックでドルの減価が進んだ。
    アーサー・バーンズ率いるFRBが政治の圧力に屈しインフレ退治を怠った。
    市場ではニフティフィフティ・バブルが弾け、株価が暴落した。

シナリオをイメージする上で最も難しいのが、今がそれらのどこなのかだ。
レイ・ダリオ氏は、金融緩和スタート後と捉えているが、もう1つのポイントがある。
それは、今が最後の大きな市場下落の前なのか後なのか、である。
筆者はまだ両方の可能性があると考えている。
仮に

前なら、シナリオ2)ブーム&バスト
後なら、シナリオ3)インフレ時代の市場の足踏み

に分類される。

シナリオ2)ブーム&バスト

このシナリオでは、まだ大きな市場下落がこの先にあるとの見方だ。
そして、その直前まで市場がまだ上がるだろうと予想しているのである。

実際のところ、米市場環境は悪くない。
いや、良好と言わざるをえない。
経済は「バランスシート非不況」でいまだ健全。
金融政策はFRB議長交代もあって緩和方向へ。
財政政策では減税の効果がこれから発揮される。
トランプ政権は規制緩和にも積極的なプロビジネスな政権だ。
大統領サイクルでは任期3年目がよいとされており、それは2027年に当たる。
戦争も市場にとってはプラスと言わざるをえない。

こうした状況下で、特にプロの市場参加者が弱気になるのはとても難しい。
丁寧に材料を見直せば見直すほど(あまりにもうますぎると感じていたとしても)強気の結果を出さざるをえない。
個人投資家がこれに付いてくるようなら、ここからさらに(メルトアップとまではいかなくても)大きく上げる可能性もあるのではないか。
そして《山高ければ谷深し》となるのではないか。

なぜ《谷深し》となるのかと言えば、まだデフレ的な要素が残った時代を想定しているからだ。
デフレ的な揺り戻しでは、定義からして、下げも大きくなる。
ただし、下げはデフレ的でも経済はデフレ的ではないかもしれない。
だから、ドローダウンを(暴落とは言えない程度の)30-40%程度と置いている。

デフレ的とイメージしているので、このシナリオでは株価急落時に金利が低下(債券は上昇)すると想定している。

総じて、過去の大幅下落時と変わらないイメージのシナリオだ。
筆者個人としての対処法もいつも通りと決めている。
債券を売って、安くなった株式を買う、逆張りである。

日本株についていえば、このデフレ的シナリオでは、1ドル130円程度までの円高を想定している。
ドローダウンは、米国株ほど山が高くないだろうとの理由で、米国株より少し悪いぐらいを想定している。
ただし、ドル円で円高となるのだから、実質的な価値の下げ幅が米国株より大きくなると見ているわけではない。

(次ページ: 心配していれば急落は起こらないのか?)


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