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アスワス・ダモダラン 【短信】高いのはマグニフィセント7だけじゃない:アスワス・ダモダラン

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が米国株の株価について「全面的に高い(richly priced)」と語っている。


みんなが『市場は二極化している』という時、それはマグニフィセント7のみが割高で市場の他の部分はそこそこフェアバリューだという意味だ。
そうじゃない。
現在の市場は全面的に高い株価になっている。

《バリュエーション学長》がCNBCで、足踏みを始めたMag7以外は正常とする米国株推しの議論を斬って捨てた。
Mag7とそれ以外で利益率や成長率の差を勘案した場合、Mag7が割高とするなら、それ以外も割高になっているとの指摘だ。
S&P 500からMag7を除く493銘柄のPER 22-23倍は高いとの意見。
出遅れ銘柄とされてきた部分も「上げ潮」に押し上げられた結果、結局全面的に株価は高い水準に達しているという。

割高との見方も多いMag7についてダモダラン教授は、仮に強気派が仮定する利益率・成長率が実現するならありえない株価でないと話す。
その一方で、その仮定が実現しえないとの意見もあり、結果として意見が割れているという。
教授は、実現しえないとの根拠の例として、NVIDIAに対抗するアルファベットによる新たなAI向け半導体の投入を挙げ、これまでの前例のない急激な成長・利益率・株価上昇を考えれば、今後も同様の展開を続けるのが困難になっていると解説した。
今後は、システムに対して同様のショックが起こる頻度が増えるだろうとしている。

努めて客観的に話すダモダラン教授だが、個人的な見解はどうなのだろう。
いつものようにMag7に対するスタンスを語っている:

  • Mag7について投資先を5銘柄(注:おそらくテスラとNVIDIA以外)に減らした。
  • まだ投資している銘柄については売却するほどは割高でないと考えているため。
  • 保有していたNVIDIA株の残りはつい最近売却した。

ダモダラン教授は努めて客観的だ。
視聴者に自身の考えを押し付けるでもなく、エールを贈っている。

「もしもNVIDIA株が上昇を続けるなら、持ち続ける人たちの検討を祈りたい。
自分は、これまでの上昇で十分に儲けた。
もっと欲しいと考えてしがみつくのは貪欲というものだろう。」

ダモダラン教授は、ファンダメンタリストが敬遠しがちなグロース株やモメンタム株にも果敢に取り組むファンダメンタリストだ。
これまでもダモダラン教授が売った後にも上昇が続いた例はもちろんある。
教授のエールは本心なのだろう。
しかし、《バリュエーション学長》の理詰めの語り口は聞く者の胸に刺さる。
NVIDIA、Mag7、それ以外の493銘柄にはどんな将来が待っているのだろう。


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