ジェレミー・シーゲル教授は、トランプ関税が一部停止されても、米国株が再び最高値を試すまでには時間がかかると予想している。
トランプ大統領が75か国と交渉しようとしているのはある程度よいことだ。
しかし、起こってしまったショックが消費者心理・投資家心理から消えることはかなりの間ないだろう。
だから、2月高値を試すまでには長い時間がかかるだろう。
シーゲル教授がCNBCで、9日のトランプ関税一時停止を歓迎しつつ、消費者・市場の心理悪化を心配した。
タリフマンが9日に突如宣言していた関税の一部を停止したことで、同日の米市場は大きく反騰した。
しかし、10日は再び下落に転じ、米市場のタリフマン・ショックが鎮静化に向かっていないのは明らかだ。
《永遠のブル》がブルになれないのも無理はない。
トランプ関税が一部停止されたからと言って、その脅威が完全に取り払われたわけではない。
中国からの安い輸入品には145%の関税が課され、米国が輸入インフレ・品不足に見舞われる可能性もある。
他の国との関係でも90日後にかなりの部分がぶり返す可能性も残っている。
そういう状態で、消費者・市場に企業まで加えて、心理がかつてのところまで回復するとは考えにくい。
シーゲル教授は、交渉の結果関税の税率が下がる可能性も認めつつ、その効果の実効性を吟味している。
「仮に交渉の結果すべての国が自由貿易に合意したとしても、米国はまだ貿易赤字だ。
それは準備通貨として起こるべき一部だ。・・・
9,000億ドルの貿易赤字があって、仮にトランプが交渉で2,000-3,000億ドル減らしたとしても・・・GDPの高々1%にも満たない。
株式市場は10%下落し、10倍、3-4兆ドルが以前より失われた。」
シーゲル教授は、景気後退とならない場合でも景気鈍化が起こりうると話している。
米資産の価値が下がり、これは資産効果の大きい米経済では大きなマイナスだろう。
米国はどのみち貿易赤字分を内製することはできない。
人が足りず、設備も足りない。
投資を受け入れ設備を増強しようにも、それには人も時間もかかる。
人を受け入れ設備増強を図る間、輸入はむしろ増えると考えるべきだろう。