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【短信】米長期債が噴き上がる可能性:ジェフリー・ガンドラック

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏の18日CNBC出演の続報: 米国債と投資推奨。

今年とてもおかしなことが起こっている。

ガンドラック氏の発言の全容が会社側から公表されている。
同氏が指摘したのはドルの安さだ。

  • S&P 500が調整した時にドル高にならない。
  • S&P 500が回復し金利が上昇してもドル安が続いている。

この現象からガンドラック氏は、もはや混乱時に米ドルがセーフヘイブンにならないとの予想への確信を強くしている。
一方、金については強気予想(4,000ドル)を継続している。

ガンドラック氏は従前、米債について短・中期にとどめ、長期債を避けるよう奨めてきた。
しかし、これについても転換点が到来しうるとのストーリーを語っている。
それは、第2次大戦時の米国、日本のイールドカーブコントロールのような長期金利コントロールである。
(大戦時の米国では戦費調達の負担軽減のため、日本のイールドカーブコントロールではマイナス金利政策で下がりすぎた長期金利を押し上げる(イールドカーブのスティープ化)ために実施された。)
ガンドラック氏は、米政府が利払い負担軽減のために長期金利をコントロールする可能性があると考えている。

もしもそうなれば、米国債市場においてリーマン危機以降最大の難しい判断を迫られることになる。
リーマン危機では、とても高格付の米国債から壊滅的なクレジットへの乗り換えが必要となり、長い時間がかかった。

ガンドラック氏は、こうしたストーリーではいつ「トリガー」が引かれるかが重要になるという。
1つの可能性が量的緩和にともなう長期債買入れであり、こうした政策が導入されれば、長期金利は低下し「突如として長期国債がモンスター級の上昇を見せる」ことになる。
現在、同氏を含めて多くの投資家が米長期国債への食欲を減らしており、それが近年の長期金利上昇となって表れている。
長期側を避けるポジションを続ければ、このストーリー実現時に恩恵の多くを取り逃がすことになる。

仮にガンドラック氏の予想どおり米国が財政従属に陥り長期金利が押し下げられる場合、その瞬間、長期債(おそらく他の資産クラスも)の流通市場に恩恵が及ぶ。
同氏は、長期金利コントロールのアナウンスが出れば「2日から1週間で長期国債価格が15ポイント上昇するかもしれない」と述べている。

ただし、米長期国債の価格が上昇した後は、利回りが実勢より低く制限された資産となり、大幅に魅力を失うのだろう。
これは、リーマン危機後のQE実施後の超低金利時代に見られたことでもある。

米ドル安についてガンドラック氏は、過去18年続いた外国人の旺盛な米資産買いが反転する可能性を指摘し「米国がアウトパフォームするトレンドは終わった」と語る。
このため、資産の10-20%を新興国市場の為替ヘッジなしのフィクストインカムまたは株式のファンドに投資することを奨めている。
為替まで考慮すると新興国市場のフィクストインカムのボラティリティが同資産クラスに求めるものより高くなることから、株式の方がよいとも話している。
有望な外国市場としてドイツ、インドのほか「おそらく」との限定付きでメキシコを挙げている。


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