ジェレミー・シーゲル教授の話し方に明るさが戻ってきたが、一方で《永遠のブル》は決して油断をしない慎重姿勢も続けている。
とうとう目の当たりにすることになった:
分散投資が役に立つこと。
マーケット・タイミングを試みても徒労に終わることだ。
シーゲル教授がCNBCで、オーソドックスな投資の教訓が報われる投資環境に戻ったと語った。
本来、シーゲル教授が主張してきたのは短期トレードではなく長期投資。
そこで重要な要素が分散投資だった。
ところが、米市場が極めて長い上昇トレンドを続けたことで、米国株あるいはマグニフィセント7など牽引役への集中投資が分散投資よりもよい結果を生む傾向が続いてきた。
さらに、押し目買いが極めて高い確率で奏効する状況から、安易なマーケット・タイミングが行われてきた。
近時、これらがうまくいかない環境に変化したように見えている。
シーゲル教授は、今年、欧州株・新興国市場株への分散投資がよい結果を生んでいる点を紹介している。
一方、この日のシーゲル教授は、強気と弱気を行ったり来たりする話し方が目立った。
「そうは言いつつも、トレーダーは関税相場からの大きな戻しを予想している。
トランプ大統領は関税の多く、ほとんどが7月2日の相互関税再開期限までに解除されると主張している。」
米国株のアウトパフォームや押し目買いが復権するかもしれないとの含みだ。
米国株は今週末まですでに9連騰を続けている。
シーゲル教授は、タリフマン・ショックに端を発した10-12%のドル安が米多国籍企業にとって「大きな追い風になる」と話している。
そう言いつつも、よい話だけではない。
教授は、この追い風が関税の向かい風のすべてを打ち消すほどではないとも言っている。
「正直な話、米公衆はまだ関税を実感していない。・・・
いろんなところで関税の悪い効果は聞いており、現時点で世論調査でこの問題について好意的でなくても、トランプが現路線を続けた場合に被るインパクトすべてを反映しているわけではない。」
米経済のハードデータは依然として堅調だ。
途方もない関税が宣言されソフトデータが急激に悪化しても、猶予措置や駆け込み需要によって経済の実績がまだ崩れていない。
トランプ関税のほぼすべてが撤回されるのでなければ、関税前に戻るわけではなく、そうならば本当の落ち込みはこれからになるのだろう。
その一方で、シーゲル教授は、あと3年半で政権が変わると指摘し、3年半は長い将来の一部分にすぎないと楽観している。
「トランプがよいことをしようと悪いことをしようと、米経済の優越ははるかに群を抜いている。」