ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、現在の米市場環境にバブルの気配を察し、いくつか潜在的な地雷原を指摘している。
過去15年間、何度もS&P 500には調整局面があったが、S&P 500が10%超下げた時にはいつもドル・インデックスは上昇した。
今回はS&P 500が20%近く下げたのにドルが下げた。
ガンドラック氏がBloomberg主催のフォーラムで、米経済・市場に「パラダイムシフト」が起こっていると指摘した。
変化は金融政策とイールドカーブにも起こっているという。
通常、FRBが利下げをするとイールドカーブは下方にシフトするものだが、今回の利下げサイクルでは10年債利回りが上昇する傾向にあると指摘した。
同氏は、市場が現水準の財政赤字に耐えられないと告げていると解説し、インフレは再上昇すると予想している。
ガンドラック氏は「清算を迫られる日が近づいている」とし、そうなれば量的緩和など救済策が再び用いられると予想した。
ガンドラック氏は、パラダイムシフトの表れとして金価格上昇を例示している。
「金は本物の資産クラスになった。
もはや狂気のサバイバリストや荒っぽい投機家のものではない。
1つの資産クラスとみなされ、各国中央銀行が買い増している。」
デジタル・ゴールドとも呼ばれるビットコインに対しては、従前どおり後ろ向きだ。
ビットコインを買うなら、その代わりに、おそらく2倍程度のレバレッジをかけて金を買う方がよいと話している。
その他、資産クラスごとの注目コメント:
- クレジット: 低格付けのものを減らし、ポートフォリオの質を高めている。
- プライベートクレジット: サブプライム危機前の債務担保証券に似ている。
- 米国株: 利益見通しは悪化したのに株価が回復し、割高感が増した。
ドットコム・バブルやサブプライム/リーマン危機前に似た雰囲気。 - 日本株・欧州株: リスク回避に役立つが、完全には逃れられない。回避には長期的なテーマのある投資先が必須。
- インド株: 30年の長期的テーマとして有望。
- 金: 逃避先として有効。
- 外貨投資: ドルをホームカレンシーとする投資家は外貨に分散を。欧州、新興国市場。
ガンドラック氏は、ハーバード大学・スタンフォード大学などの寄付基金がプライベート市場への投資でつまづいている点を紹介した。
流動性に乏しい資産クラスに投資しすぎた結果、必要な現金の捻出に困っているというものだ。
これらは大きな寄付基金だ。
もしもお金が要るなら、売らないといけなくなる。
市場が恐怖と貪欲で動かされていることはみんな知っている。
いざとなると恐怖が貪欲に勝ることもみんな知っている。
でも、投資家行動にとっての最大のドライバーは必要に迫られることだ。