元ブリッジウォーターのレベッカ・パターソン氏が、いつものようにバランス感覚の溢れる語り口で2026年の米市場見通しを語っている。
「私は節度あるブルだ。」
パターソン氏がCNBCで、来年の米市場について強気のスタンスを説明した。
世間で言われている強気材料(2%成長予想、EPS成長の加速、FRB利下げ、刺激策、税金の戻り、テックや金融株での自社株買い、規制緩和)はいずれも「完璧にもっともなナラティブ」であり、それにAI投資への期待が加わっているという。
だから、強気予想は動かしがたい。
問題は、それらが(市場に)織り込まれていること。
だから、ポートフォリオの分散を考えないといけない。
市場に好材料が織り込まれている時こそ、期待に達しなかった場合に備えた分散投資が必要になるとの考えだ。
パターソン氏はいくつかのポイントを語った:
- 金: 3年続けて強気継続。
- 米ドル: ドル安を予想し、外国投資で分散を。
- セクター: テック以外(金融、外国を含む防衛)を増やす。
QTを終了したばかりのFRBが流動性確保のためにTビル買入れを開始することについて、パターソン氏は市場心理に影響すると話している。
短期側での買入れが5-6か月程度で終わるならQE的な施策ではないことになろうが、長く続く場合はそうとも言えなくなってくるという。
なぜなら、現在の米政府は資金調達を極端に短期化しているからだ。
「もしも長期化するようなら、政府が積極的な国債管理を続けるだろうとの推測を市場が強めることになるだろう。」
政府が短期国債を発行し、FRBが短期国債を買い入れるなら、少なくとも外形的にはマネタイゼーションが行われることになる。
これは、インフレやドル安を連想させる。
パターソン氏は、来年のFRB金融政策が諸外国と乖離し始める可能性にも触れている。
FRBが金融緩和を継続する一方、豪・欧・日は利上げ方向が予想されるためだ。
当然、これはドル安圧力になるという。
さらに、各国中銀のドル離れが続くとも予想しているという。
米国株市場についてパターソン氏は、大幅な下落シナリオも念頭に置いている。
そうなれば、資産効果や設備投資に大きな打撃になるという。
その上で、下げ幅については正直な意見を述べている:
「問題は2000-2002年のNASDAQのドットコム・バブル崩壊のように75%下落するのか、あるいは、もっと小さなバブル収縮で20-25%下落して元に戻るのかだ。
私にはどちらになるのかはわからない。
でも、そのリスクは十分にあり、だから節度ある楽観と言っているんだ。」
