かつて日本売りで名を馳せたヘイマン・キャピタルのカイル・バス氏が、日本を心配していると漏らしている。
日本の債務対GDP比率は260%を超えている。
世界における最も興味深い債務実験室だ。
バス氏がBloombergで、日本円について尋ねられて答えた。
同氏は、日本の厳しい財政状態・人口動態について言及している。
バス氏はかつて日本国債売りを仕掛けたことで有名だ。
アベノミクス、とりわけ異次元緩和が日本国債を減価させると見て、大々的に市場にアピールしていた。
むろん日銀が買い支える限り円建て国債が名目価格を下げることはなかった。
しかし、代わりに名目価格の物差しである円が大きく減価した。
バス氏は為替ヘッジなしで日本国債ショートのポジションをとっていたため、この日本売りで大きな利益を上げている。
バス氏はポジションを閉じた後、主たるターゲットを中国売りに振り向けている。
これは、外交面で強硬なタカ派である同氏に似つかわしいターゲットだった。
日本売り後も日本の財政悪化については批判的だったが、今回のバス氏のトーンには明らかに迷いが見える。
日本は米国にとって重要な貿易相手国であり、アジアにおける忠実な同盟国でもある。
だから、米国はできるかぎり日本に対し貿易や支援を行うべきと思うが、日本は不安定な状況にある。
日本は為替を解き放つか、債券市場を解き放つかしないといけないが、債券市場を解き放つことはできない。
だから、私は円の先行きに警戒している。
仮に現在、日本国債の魅力が低下しつつある場合、バス氏の言うように日本(日銀)が国債を支え続けるなら、そのしわ寄せは円相場に向かう。
かつてバス氏が為替で大儲けした構図が再び再現しかねないのだ。
この後、バス氏は香港ドルや米中交渉についてコメントしているが、これは現在進行中のトレードのポジション・トークも入っているのだろうから割愛する。
ここでは、外交的タカ派が述べた防衛産業への言及を紹介しよう。
「過去の戦争の時期を回顧すると・・・
第2次世界大戦の1945年には、米国はGDPの40%を防衛に費やした。・・・
防衛費の対GDP比率は上昇するだろう。
今後10年の米国では、その初期において防衛や防衛関連テクノロジーへの投資が行われるだろう。」