Bloombergキャスターは、政府・民間の両部門でのレバレッジの問題についても尋ねている。
レイ・ダリオ氏は、レバレッジ拡大が顕著な公共部門について「典型的」な展開と解説している。
「とても典型的なことだが、民間部門が資金を必要としているのに十分に生み出せない時には政府部門が介入して資金を借り、それを様々な形で配る。
政府は大きな赤字になる。」
ダリオ氏は金本位制から離脱した1971年のニクソンショックの先例を引き、歴史の示す帰結を語っている。
「その仕組みは、保有する金より多くお金を発行することであり、お金の価値は低下し、リンク等は失われた。・・・
政府の資金繰りが厳しくなると、債務返済のためにお金を発行する方が簡単だ。
100%の確率で起こってきたことだ。」
金本位制離脱後に(石油ショックなども相まって)米国が高インフレを迎えたのは紹介するまでもない。
それでも1980年代に入ってボルカー・ショックで立て直すと、FRBは金融環境が緩和しすぎないようそれなりの規律を保ってきた。
しかし、政府の財政が悪化して政府債務が増え続けると、債務が自国通貨建てで下落しすぎないよう(≒金利が上昇しないよう)な金融政策を求める声が出て来る。
中央銀行が政府債務を買い入れれば貨幣発行量が増え、インフレや通貨安への圧力になっていく。
その兆候が見られたのが今年のドル安の一側面だったのだろう。
民間部門については、ダリオ氏はプライベート市場でのレバレッジについて問題視した。
マイナスの実質金利が長く続き、つまり、借りることの実質的なコストがなくなっていたため、同市場でのレバレッジが高まったという。
金利が正常化したことで、リファイナンスが難しくなり出口の機会も失われてきているとし、より大きな問題の可能性についても言及した。
こうしたことは大きなサイクルで起こることだ。
それが今プライベート市場で起こっている。
目下の問題は、プライベート市場だけでなく公開市場にも及ぶのかだ。
とても興味深い問題だ。
同氏は従前から、現市場がバブルの状態にあるとしつつ、それでもまだバブルが弾ける原因が存在しないと語ってきた。
バブルが弾けるのは、多くの資産が現金化を強いられるためとし、潜在的な原因の一例として富裕税導入を挙げている。
