ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が、政府と民間でのレバレッジ上昇がもたらす結果について先例を元に解説している。
ダリオ氏がBloombergで、政府の市場における役割が大きくなっている点についてコメントした:
これは大きな対立が存在する時代に常に起こることだ。
地政学的対立が大きい時代には、消費主体の経済から、資源をどう用いるかについてより統制された経済へと移行する必要に迫られる。
ダリオ氏は、AIや量子コンピューターの分野での米中間の競争を例に「技術における戦争は軍事戦争と関係している」と指摘。
そうした対立が先鋭化した時代には常に「産業政策」が強化され、統制経済の色彩が強くなると解説した。
AIの例では成果物についての競争だけでなく、それを支える電源などインフラなどについて国の関与が強くなるという。
米国のみならず、日本を含む多くの先進国で、経済・市場への政府の関与が大きくなっているのは衆知の事実だ。
金銭的な投資リターンの見極めにおいて最も劣った目を持っていると思われる政治家、官僚、軍などが莫大な資金の使い方について裁量を与えられつつある現状を危ぶむ声も少なくない。
最近の各国での長期金利上昇・高止まりなどは、そうした懸念の一端を示すものだろう。
一方、本来は金銭的な投資リターンの見極めに長けているはずの財界は、政府に意見するより血税の投下の恩恵をあずかることの方に熱心なように見える。
一般の市民もまた政府にバラマキを求める声が大きく、歳出増に対する心配の声は広まらない。
ただただ債券市場だけが《自警団》として黄信号を送っている構図だ。
ダリオ氏は従前から湾岸諸国の中に有望な国があるとして、自身のファミリーオフィスの拠点も構えている。
その理由について尋ねられ「成功した国家となるために必要な3つのこと」を語った:
- 「生産的で所得を稼ぐことができ互いに対話ができる」ように子供たちを教育する。
- 支出するより多く稼ぎ、債務より資産を多く持つ。
- 国内の対立、国家間戦争に入り込まない。
特に後の2つを見ると、多くの先進国が悪い方向に向かっているように感じられる。
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