2018年までゴールドマン・サックスを率いたロイド・ブランクファイン氏が、現状の米市場について語っている。
リスク管理を重んじた会長兼CEOとして有名だった同氏の指摘は示唆に富んでいる。
およそ4-5年に一度、世紀の危機が起きている。
ブランクファイン氏がCNBCで一般論を述べた。
同氏は現在の米市場を「心配の壁」と呼んでいる。
キャスターが「次がやってくるのか」尋ねると、ブランクファイン氏は「やって来る、と言ってるんだ」と答え、さらに話を続けた。
・・・弱気な見通しを述べる時、人は賢く見える。・・・
私はこんなに弱気な考えをもっているが、資産を100%株式に投資している。
キャスターたちは意外な表明に大いに興味を持った様子だった。
実際のところ、現在の米金融メディアでは米市場の強さに戸惑いを隠さない人が少なくない。
経済が堅調な一方で、関税や雇用に大きな不安・不確実性がある。
これが史上最高値圏を正当化するのかとの疑念は決しておかしなものではないだろう。
ゴールドマンの経営層と言えば、ブランクファイン氏の前任者ヘンリー・ポールソン氏をはじめ、連邦政府で財務長官など高官を務めるケースが多い。
ブランクファイン氏もそうした野望があると伝えられることがあったが、実現しなかった。
同氏は2004年からゴールドマンのCEOを務めた。
ブランクファイン体制はちょうど住宅バブルとサブプライム/リーマン危機後に重なる。
このためリスク管理に注力することになったが、この時期は最も米投資銀行が嫌われた時期でもある。
ゴールドマン退社後、同氏はデイトレーダーになったと報じられるほど、表舞台から遠ざかってきた。
100%株式とは、同氏の個人資産の話であり、その理由を次のように語った。
利下げがもうすぐであり、強気相場に入ろうとしている。
リスク管理の達人のスタンスは変わっていない。
リスクについては潜在的なものまで把握し心配する。
リスクがあるから実際の行動まで弱気側に振らせればよいとは限らない。
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