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ジム・オニール 【短信】代わりが見えなくとも交代は進む:ジム・オニール

元Goldman Sachs Asset Management会長、元英国財務次官 ジム・オニール氏が、英ポンドの凋落を引きつつ、米ドルの置かれた危うい状況についてコメントしている。


(米ドルの)代替物が何になるかは明らかでない。
本当に取って代わるものが何かは、他の多くのことと同様、そうなったと皆が知った後にわかるのだと思う。
英ポンドは、基軸通貨でなくなるまで基軸通貨だった。

オニール氏がCNBCで、米ドルの基軸通貨としての地位が揺らいでいると示唆した。
現時点で次の基軸通貨が何になるか見えていなくとも、変化が起こらないことを意味しないとの考えだ。

英ポンドが基軸通貨になったのは、1816年の金本位制導入時とされる。
ポンドが基軸通貨の座を米ドルに譲ったのは、1944年のブレトンウッズ体制成立時だ。
19世紀は英国が「世界の工場」として世界経済を牽引したが、19世紀半ば以降は独・米などの後発国も追い上げを始め、同世紀末には英国を追い抜いている。
20世紀前半、英国は2つの世界大戦で勝利したが、第2次大戦終戦と前後してその通貨は基軸通貨の座を明け渡している。

1944年のブレトンウッズ体制では、米ドルの金兌換と固定為替相場制が採用されたが、それも1971年のニクソン・ショックでの金兌換停止により終結を迎えた。
スミソニアン協定が結ばれたが長くは続かず、1973年までには主要通貨が変動相場制に移行。
その後50年余り、変動相場制の中でも米ドルは基軸通貨あるいはNo.1準備通貨として君臨し続けている。

BRICsの名付け親として有名なオニール氏は、世界の未来を予想しようと努めてきた。
同氏が、米ドルの地位を悲観するのは、これまで米国を強くしてきたことが覆りつつあるからだ。
問題は財政や通商問題だけでなく、優秀な人材を引き寄せてきた米大学への圧力などにも及ぶ。

とても保守的な世界の資産の保有者の中に
『ユーロが代替物になるかどうかはわからないが、少しお金をユーロにしておこう。
この男は、米国を強くしてきたすべてのことを徐々に破壊している。』
と考える人が増えるのは止まらない。


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