国内経済 投資

【短信】リスク回避でも円買いが続かない:佐々木融氏

ふくおかFGの佐々木融氏が「リスク回避局面」でも円買いが続かない構造について警告を発している。


「この構図が根本から変容している。」

佐々木氏がReutersへの寄稿で、「有事の円買い」の構図が崩れていると指摘した。
イラン紛争という「有事」でも、日本円は主要通貨の中で弱い部類にとどまっているという。
悲しいことに、どうやらこの変化は「有事」だけにとどまらず「リスク回避」というより広い状況にも拡大解釈できるようだ。

日本が構造的な貿易赤字国へと転じ、直接投資などで実需の円売りが常態化した今、短期筋が円を買い戻すと、喜んで円を売る企業が多くなり、円高の動きを止めるようになった。
この結果、リスク回避局面でも円買いの勢いは続かないこととなった。

佐々木氏は、かつての「有事の円買い」の構図においては、円高が輸入物価の上昇を和らげていたと指摘する。
「有事の円買い」が起こらない今、原油高でも円安となる「ダブルパンチ」に見舞われているという。

「『円』はもはや防波堤ではなく、有事の『悪影響を増幅させる装置』に変質してしまった。
『円安こそが経済成長のエンジンである』という幻想から、我々はいい加減に目を覚ますべきではないだろうか。
通貨の価値とは、その国の購買力であり、国民が世界​から富を享受するための『引換券』だ。」

今回の佐々木氏の議論は実体経済にかかわるものだ。
しかし、こうした変化は投資家にとっても大きな脅威だろう。

かつてのリスクオフ局面では、確かに円資産の価格は下落したが、相対的な価値の下落という点ではその打撃は円高によって和らげられていた。
(超景気敏感株と言われる日本株だが、為替換算すれば見た目ほど相対的に悪いわけではなかった。)
さらに、リスクオフ局面での円高は国内投資家にとって外国資産への投資の絶好のチャンスともなりえたのだ。
実際、世界的な資産高の中、国内投資家にはそうした好機(外国資産価格下落と円高)を待っていた人もいるのではないか。
仮に今後たいした《リスクオフの円高》が望めないのであれば、円で待つ理由はなくなり、外国への投資が加速するかもしれない。
もちろんそれは円安要因となり、悪しきサイクルを加速させかねない。
こうした心配が単なる杞憂であることを祈りたい。


-国内経済, 投資
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 本サイトでは、オンライン書店などのアフィリエイト・リンクを含むページがあります。 その他利用規約をご覧ください。