アリアンツ主席経済顧問モハメド・エラリアン氏が米経済・市場について、表面には見えていない危うさを指摘している。
これまでクレジット市場は信じられないほど緩い状況だった。
莫大なマネーが借り手に投じられ、運用基準が十分でなかった。
エラリアン氏がCNBCで、米クレジット市場におけるデフォルトの発生を心配した。
JPモルガンCEOジェイミー・ダイモン氏の発言に同意し、今後さらにデフォルトが発生する可能性に言及した。
米国ではトライカラーやファーストブランズの破綻が市場心理の重しとなっている。
ジェイミー・ダイモン氏は14日「ゴキブリが1匹いたら多分もっとたくさんいる」と警鐘を鳴らした。
16日には米地銀2行が(債務者名を明かさず)不良債権の発生を公表している。
これに嫌気して同日の米市場は株式が下落し、国債が買われた(利回り低下)。
エラリアン氏はクレジット市場の癖を解説している。
「(信用)スプレッドが小さくなるほど、(リスク)カーブは平坦になる。
投資家がリターンを求め、あまり知らない領域の危険を冒すようになるためだ。
今はみんな相対リターンばかりに目をやり、リスクに対する報酬(の適正さ)を忘れている。」
エラリアン氏は、こうした市場の挙動は過去何度も見られてきたことと話した。
ただし、現時点でこれがシステミック・リスクになるとは考えていないとも付言している。
エラリアン氏は、こうしたクレジット市場における事例がFRB利下げの背中を押すとして、次回FOMCで25 bpの利下げを予想した。
50でなく25とする理由は、米インフレが今後数か月上昇すると予想されるためとしている。
同氏は、米経済について「表面上は素晴らしい」としたものの、2つの乖離について懸念を述べた:
通貨と企業、家計の二極化である。
米国株市場への資金流入を見ると、通貨ヘッジが付されている。
つまり、みんな米企業は好きだが、ドルは嫌いなんだ。
日本株だけでなく米国株でも株式と通貨の又裂きが心配されているようだ。
こうした時増えるのは、為替ヘッジ付き投資、あるいは、現地通貨建て調達による株式投資(ウォーレン・バフェット氏の5大商社への投資が典型)である。