『ブラック・スワン』(amazonのリンク)の著書で有名なナシーム・ニコラス・タレブ氏が、無理筋の質問を受けている。
予想できないことが定義の一部である「ブラック・スワン」を予想してくれとの質問だ。
「(質問を)言い換えさせてほしい。
世の中には『グレイ・スワン』と呼ばれるものがある。」
タレブ氏がBloombergのインタビューで、グレイ・スワンを予想した。
第一に、みんな気づいているかどうかわからないが・・・財政赤字だ。・・・
4-5%の金利は大きく、これは雪だるま効果が生じることを意味している。・・・
不幸にして政治システムの構造がこれを駆り立てている。
FPは、FP自体が偏向していることを切に願っているが、最近どうも財政問題に言及するニュース・発言がとても多いようだ。
この財政問題について、タレブ氏は同氏らしい視点から描写している。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、それでも一歩引いた絵を気づかせてくれる。
タレブ氏によれば、中国のような国が以前ほどでないにせよ比較的高成長を続けている原因とは、未開の田舎から都会のアパートに人々を移転させている点にあるという。
「米国は貧しい人がいないから、経済成長ができない。
今では、もはや移民を望まなくなっている。・・・
だから米国の成長は構造的に低下し、同時に債務負担は構造的に増大している。」
タレブ氏は素朴で本質的な問題を提起する。
なんで米国はまだ借金をしているのか?
問題なのは、国家とは豊かになって、もう必要がない時に借金をする傾向があることだ。
ウォール街の人たちと同じで、彼らはすでに金持ちになっているが借りている。
一方、貧しい人たちは借りない。
これが大きな問題だ。
タレブ氏は2つ目のグレイ・スワンとして、中国の経済成長がもたらす当然の帰結を挙げている。
世界の「地政学は同じままとはならない」と予想し、柔軟に考えるべきと暗示している。
「みんな間違った世紀に暮らしたくはないはず。
今のこの世紀に暮らしており、それが異なる世紀であることを考慮しないといけない。」