「誰が実際にストラテジー株を買っているのか?」
ジム・チャノス氏はこのもっともな質問に対し、マイケル・セイラー氏による「すばらしい営業活動」の賜物と答えている。
「ビットコイン利回り」など、奇怪な用語を創作し、ストラテジー社のストラテジーを買い手に売り込んでいるのだという。
チャノス氏は、セイラー氏が状況に応じて巧みにセールストークを変化させていると指摘する。
最近では、ストラテジー株がS&P 500指数に採用されるとの観測話まで使われているのだという。
今回のチャノス氏のヘッジポジションはビットコイン価格に対して中立になっており、ビットコイン価格が上昇しようが下落しようが直接の影響を受けることはない。
このポジションの成否は、時価純資産と株式時価総額の乖離が目論み通り縮小するか、それとも市場の狂気が高まり逆に乖離するかにかかっている。
これはロング/ショート・ポジション一般が直面する難関だ。
高名なショート・セラーは、決して楽しいものではないと明かしている。
「私はダウ平均が1,300だった1985年に元々のファンドを立ち上げた。・・・
1996年にヘッジを始めた。・・・
簡単だったことはなく、だから(ショート・セラーを)やる人は多くない。
銘柄固有のチャンスでは、知られているようにほとんどが失敗する。」
ダウ平均が1,300の頃から44,000を超えた現在まで、ヘッジの有無の差こそあれ、もっぱらショート側に注目した投資活動を行っているのだから、大した胆力だ。
近年、多くのショート・セラーが敗退している。
特に2009年以降の金融・財政政策に起因する長い強気相場で、ショート・セラーは苦難の時代を迎えた。
しかし、長い強気相場ゆえに逆に潜在的なチャンスは増えている可能性もある。
チャノス氏は現在の投資環境を次のようにコメントしている。
おそらく今の市場ほど、ビットコイン保有企業ほかのように、銘柄固有のチャンスがたくさんあることはかつてなかっただろう。
こうした現象はある意味奇妙なものであり、一般的なアニマル・スピリットの関数だ。
・・・市場がどちらに向かうかを予想しようとは思わないが、間違いなくアニマル・スピリットが戻ってきている。
どんな人がストラテジー株を買っているのか?
金融リテラシーのない人たちなのか?
それとも知っていながら椅子取りゲームを楽しんでいる人たちなのか?
この物語のエンディングを楽しみにしている投資家も少なくないのではないか。