ブレークイーブン・インフレ率でも5年と9-10年のところの差が目立っている。
これはバイアスによるものか、それとも短期のインフレ継続・長期のディスインフレ回帰を織り込んだものか?
ブレークイーブン・インフレ率(BEI)
日本のブレークイーブン・インフレ率
長期のブレークイーブン・インフレ率を前5年とそれ以降に分けて見てみる。
先述の5年と9-10年での差を反映し、前半と後半で大きな差が出ている。
前半は2%を超えているが、後半は1%を切っている。
日本の5年先からのブレークイーブン・インフレ率
物価連動債は人気化するか?
現在、個人投資家でも投資信託を通して物価連動債に投資することは可能だ。
こうした商品はどれだけ魅力的だろうか。
仮にある投資家が10年もの物価連動債に投資できるとする。
でもその流通利回りはまだゼロ近傍だ。
先月発行の第30回債の募入最高利回りもちょうどゼロ%(単利)だった。
利回りゼロの物価連動債とはどういうイメージの投資先か。
物価が下落すれば、元本保証はある。
物価が上昇すれば、物価上昇分については補ってもらえるので、投資の実質価値は変わらない。
つまり、価値の保蔵手段としては優れている。
ただし、物価下落とならないかぎり、プラスの利回りは得られない。
プロの投資家なら、分散のツールとしての価値がある。
リターンに対しては中立だが、σリスクを低減してくれるはずだ。
これは、きちんと投資分散を意識してポートフォリオを組んでいる人にとっては朗報だろう。
ただし、利回りゼロの物価連動債を入れれば、全体のリターンは薄まってしまうかもしれないから、必要に応じてレバレッジも検討すべきだ。
(次ページ: 物価連動債はあくまでCPI上昇のヘッジ)