ロバート・シラー教授による技術革新の脅威についての考察で特に興味深いのは、大暴落に至るまでの《狂騒の20年代》株価が上昇を続けた一因が逆に人々の不安ではないかと指摘している点だ。
2017年 ロボットへの不安が株を押し上げる
「ロボットが通常の仕事を奪ってしまう。
人々は心配しており、テクノロジー株を物色している。
彼らは、脅威を与える側に参加しようというような気持ちなのではないか。」
革新的技術は人々から仕事を奪うことになるかもしれない。
ならば、労働者だけでいるのではなく、その恩恵を受ける企業のオーナーになろうとする人も現れる。
それが株式への投資を後押ししているとの仮説だ。
実は、こうした議論は米国では珍しいものではない。
前世紀の終わり頃から、米国では顕著に労働分配率の低下が見られた。
労働者と資本家と二分するなら、資本家になる方が圧倒的に得だったわけだ。
インターネットの発達もあり、特に前世紀末には個人の専業投資家が一般的になった。
労働者より資本家の方が割がよいことへの自然な反応でもあったのだろう。
2017年 バブル崩壊と市場の心配
余談になるが、シラー教授は1929年の大暴落前の市場の雰囲気について調査している。
「1929年に遡ると、市場の狂気に対する緊張感で溢れていた。
ほとんどの新聞記事は『心配するな、すべて大丈夫だ』と書いていた。
どうしてそんな記事が書かれたかと言えば、みんなが心配していたからだ。」
つまり、市場が心配していれば急落は起こらないというわけではないということだ。
ただし、話はそう単純でもない。
市場の不安を恐怖指数VIXで表現した場合、VIXが低い、つまり不安が小さいことも安全を示さないと指摘している。
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