レイ・ダリオ氏は、大戦争の前に起こることとして、世界各国が情勢をもとに「計算や振る舞い」を変えると予想する。
今回のイラン紛争で、米軍基地を受け入れている中東諸国に起きたことを目の当たりにしたためだ。
特に、極東について次のように書いている。
「(米中の紛争が起こりうるアジアのように)大きな紛争が起こりうる世界の一部において、戦略的に重要、かつ/または、領域内に米軍基地がある海峡に近い国は、イラン戦争で起こっていることを注視し、教訓を得ようとするだろう。」
これまでのイラン紛争を見る限りで言えば、今や米軍基地を受け入れることが安全保障上得策なのか、米軍は同盟国を守れるのか、疑念が持たれていると言いたいのだろう。
ダリオ氏は、たとえ覇権国であっても、この段階において世界で複数の戦争を戦うことが困難であると指摘する。
さらに、イラン戦争は大きな戦争の1コマにすぎず、大きな戦争は長く続くと結論している。
世界秩序は、米国とその同盟国(つまりG7)の支配力に導かれた多国間のルールに基づく世界秩序から、単一の支配力が秩序を強制することのない《力こそ正義》とする世界秩序へと変化した。
これが意味するのは、もっと多くの戦争が予想されるということだ。
何しろ、かつての《世界の警察官》が率先して国際法を踏みにじる時代だ。
投資家目線で言えば、ますますダリオ氏のいう第12段階が心配されるようになる。
ダリオ氏は2月、大戦時に起こった資産価値の消滅について書いている。
本来なら不毛なはずの金投資に多くの人が向かうのも無理はない。
フランスの中央銀行は昨年7月から今年1月にかけ、FRBに預けていた金準備(約5%分)を売却し買いなおすことでパリに移している。
世界秩序が変わるかもしれない時、金投資は現物で持たねば十分でないということだろう。
