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利下げのための利下げをすべきでない:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、米社債市場のリスクとFRBの金融政策についてコメントしている。


「これら3つのすべてが進行中だ。
ロング・オンリーの投資家なら注意が必要だ。」

エラリアン氏がCNBCで、現在進行中の問題点を3つ挙げた。
同氏が単純化して挙げた3点とは:

  • 人々の活動が停止し、経済が突然止まる。
  • 人々の恐怖が、経済の停止を増幅する。
  • 最後の砦としての中央銀行に対する信頼が陰る。

こうした状況の中、テクニカル面で「大きな綱引き」が行われているという。
さまざまな抵抗線が破られ、チャート上の予想が混沌としてきた。
結果、短期のトレーダーにとっては魅力的な市場になっているという。

ディストレスト、スペシャル・シチュエーション、レラティブ・バリュー、裁定にチャンスがある。
しかし、ロング・オンリーの投資家なら、現時点で参入しリスクを積み上げる前に注意が必要だ。

久しぶりにヘッジ・ファンドに追い風が吹いているようだ。
一方、エラリアン氏は、ファンダメンタルズが安定していないとして(ロングの)投資家なら注意が必要と強調している。

エラリアン氏は、社債市場のリスクを改めて解説した。
これまで長く続いた超低金利が、企業に債務を増やすよう促してきたという。

「このため、BBB-の企業が大量に存在し、それがハイイールド市場に覆いかぶさっている。
大きな経済減速を迎え、それが信用リスクを大きくし、格下げを増やす。」

結果、投資適格の中で下層の銘柄からいわゆる堕天使(フォールン・エンジェル)が発生する。
投資適格債だったはずのものがハイイールド債に化けていく。

「ハイイールド市場の大きさからいって、堕天使を吸収する容量は短期的には限られているため、市場が混乱し、新規発行が混乱する。
航空会社やエネルギー企業が借金のリファイナンスをしようとしても困難さが増す。
だから、ターゲットを絞った貸付と証券化が可能なら好機で、投資家にとって黄金色のチャンスになる。」

エラリアン氏が紹介しているチャンスとは、ETFなどバスケットへの投資で得られるものではない。
厳しく銘柄を選別する者だけが得られるチャンス、リスクを取ってもそれを他の投資家に転嫁できる者だけが得られるチャンスだ。
残念ながら、一般投資家がこうしたチャンスをものにできる機会は大きくない。

市場はすでに今月のFOMCでの50 bp程度の利下げを織り込んでいる。
市場に督促されてFRBが追随する良くない展開が続いている。

エラリアン氏は、利下げのような、対象が広範にわたりすぎるやり方には反対だ。

中央銀行に利下げのための利下げを促すべきでない。
それはなまくら刀にすぎない。
中央銀行には市場の機能を注視させ、流動性が停滞しているところに集中させるべきだ。
混乱した市場から実体経済に波及するフィードバック・ループを生んではいけないためだ。

金利とは下がれば良いというものではない
金利が下がりすぎることで投資家にとっての魅力が失われ、お金が回らなくなる可能性もあるからだ。
だから、十把一絡げに緩和するのではなく、ターゲットを定めて施策を打つべきと言っているのだろう。


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