某国大統領の妄言が止まらない。
1日発表の雇用統計の結果が予想外に悪く、前2か月のデータも下方修正となったことについて、データの不正操作と決めつけ、労働統計局長の解任を命じている。
7月の雇用統計は予想を大きく下回った:
- 非農業部門就業者数前月比: 73千人(市場予想110千人)。前2か月分も下方修正
- 失業率: 4.2%(同4.2%)
この結果について大統領は、共和党と自身を「悪く見せるために操作された」とSNSで表明。
昨年の大統領選挙前にも不正な操作があったと決めつけた。
(いつものように何も証拠を示していない。
誰かから「聞いた」のだそうだ。)
大統領は、発表元の労働統計局の局長がバイデン前大統領に任命され、不正を行っていると主張し、同局長の解任を表明している。
さらに、従前からのパウエルFRB議長への辞任要求も強めている。
米労働市場が本当は健全と言うなら、FRBへの利下げ要求は的が外れているようにも思える。
雇用統計が操作されていないのなら、利下げ要求は妥当ということになる。
こうした論理的な矛盾は気にならないようだ。
パウエル議長は辞任すべきとの議論で最近軽く炎上したモハメド・エラリアン氏も、統計の不正操作については否定的だ。
CNBCで、統計調査の手法について改善の余地があるとしつつも、政治的な理由であるとする証拠はなく、この種の調査につきものの課題であると述べている。
同氏の話からは、本当は米労働市場が堅調だとのメッセージは受け取れない。
私たちは今日、労働市場に対する見方を完全に変えた。
下方修正は大きく、3か月移動平均は35千人に低下し、これは2021年以来の低い数字だ。
市場は雇用統計の結果を素直に受け取っている。
同日のS&P 500は前月比1.60%下落し6,238.01。
米10年債利回りは14 bp低下の4.22%。
ドル円は147円台まで3円ほど円高ドル安方向に戻している。
米経済の悪化を感じ取ったのだ。
(次ページ: 金融環境、米市場の見通し)