ブリッジウォーターCIOからのメールでは、「1998年からの15年」のパフォーマンスに言及している。
この間、米国株は「米国債・新興国株式・金をアンダーパフォームした」という。
1998年がドットコム・バブルの前夜だとして、なぜ終点を2013年としたのか。
この年の意味も理解しておかないと誤解が生じかねない。
2013年とはどんな年だったのか。
- 米量的緩和の第3弾QE3実施(2012年)の翌年
- 量的引き締め観測による市場急落、いわゆるバーナンキ・ショックの年
- S&P 500がドットコム・バブルのピークを回復した年
- 日本はアベノミクスと異次元緩和の初年
- ECBは市場予想に反し利下げ継続
過去、日米欧の金融政策は米、欧、日の順に進むことが多かった。
米経済がまず回復し、FRBが引き締める。
欧州はしばらく通貨安の恩恵を受けた後に追随。
日本がその後といった感じだ。
米市場の視点から言えば、2013年とは主要経済において金融緩和が出揃い、金融政策正常化が意識され始めた局面だろう。
この終点は、金融緩和の恩恵が米市場に対して十分に及んでいた時期、ただし米強気相場のまだ序盤である。
S&P 500は当時1,500前後。
今年2月には4倍の6,000を超えていた。
2013年以降の株価上昇に大きく効いた要因はいくつもあろうが、その1つが第1次トランプ政権とパンデミック時の財政拡大であり、今後は再現を期待しにくい。
ブリッジウォーターが注目した「15年」は、バブル前夜からバブル後に高値を回復した15年だ。
現サイクルのピークが今年2月だったのか、この先になるのかはわからない。
しかし、そこから下げて次に回復するまで、米国株は不利になりうるとのメッセージなのだろう。