ビル・グロス氏が、予想以上に強い米消費・景気について1つの仮説を提起している。
米消費が堅調だ。
米商務省が15日発表した7月の小売売上高は前月比1.0%増と、市場予想の0.3%を大きく上回っている。
堅調な消費が、米景気を予想以上に支えている。
多くの市場関係者が、家計の超過貯蓄がそろそろ使い尽くされると見ている。
パンデミック以降の大規模な財政出動の恩恵がついに終わるとの見方だ。
しかし、現実にはまだその悪影響は顕在化していない。
ビル・グロス氏が21日、この謎について1つの仮説をツイートしている。
計測するのは難しいが、中間層の上の層や豊かなベビーブーマーが資産/現金を移転したり支払いを負担することで、ミレニアム世代や若い世代の支出に資金提供しているのではないか。
その過程で、小売売上高と経済を押し上げているのではないか。
Hard to measure but I suspect upper middle class and wealthy boomers are funding millennials and younger generational spending by transferring assets/cash and paying bills, and in the process pumping retail sales and the economy. In essence they are liquidating balance sheets to…
— Bill Gross (@real_bill_gross) August 20, 2024
若い世代で過剰貯蓄が尽きれば、親が援助してくれないなら、アメリカ人が得意とするクレジット・カード等の消費ローンの出番となる。
ただし、短期金利はかなり高いところにあるから、このやり方にはブレーキがかかりやすい。
米消費にブレーキがかかっていないところを見ると、親の援助がありそうだ。
引退後の親の主たる収入と言えば(年金か自分年金かの差はあろうが)資産のリターンまたは取り崩しだ。
もちろん、ここには危うさもある。
真実は、支出を賄うためにバランスシートを取り崩しているのだ。
株式/住宅の価格が上昇を続けるかぎり、これは続くだろう。
最後の1行が危うさを滲ませている。
堅調な景気が資産効果によるところが大きいならば、資産効果が得られなくなる(=価格がピークになる)と逆回転を始めるかもしれない。
消費が停滞を始め、資産価格を下押しし、資産効果を負に反転させる。
米景気については依然ソフトランディングを見込む人が多い。
一方、いつものように景気後退になるとの意見も根強い背景には、資産効果に依存する米消費への警戒があるのだろう。