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ハワード・マークス ハワード・マークスの市場予想の的中率が100%を続けているワケ

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏があるインタビューで、投資家の過信を諫めるような話を何度も繰り返した。

「投資環境が熟すタイミングがある。
そういう時には、そう多くないリスクで大儲けできるチャンスがやってくる。・・・
同様に(景気・市場)サイクルにしたがいチャンスが減ってしまい、チャンスを追うことが大きなリスクになる時もある。・・・
その違いを見分けることが重要だ。」

マークス氏がCFA Society Indiaのイベントで、サイクルを理解することの重要性を語った。
(同氏はこのテーマで一冊本を書いている。)

マークス氏は、2017年に子息(VC投資家)と交わした会話を紹介している。
同氏が投資家キャリアで行った投資予想のすべてがみごと的中しているとの会話だ。
子息はその理由を端的に解説したという:「だって50年間に5回しか予想してないんだから。」

マークス氏は、マクロ予想に基づく投資を行わないのを信条・原則にしている。
その人が人生で5回だけ原則を外れる予想・投資を行った。
確実と確信できるほど極端な投資環境だったからだ。

「投資を56年、19,000日やってきた。
もしもその間19,000回予想していたら、勝率は多分50:50だったろう。・・・
マクロやサイクルについて認識しなければいけないが、ひどい極端な状況を除けば、そうそうそれで儲かるチャンスはないのだと思う。」

忙しすぎる短期トレードは儲からないとの教えだろう。

下駄を履いていることを忘れるな

マークス氏は個人ローンを抱えていた1980年の頃を回想している。
当時のローン金利は22.45%。
それが2020年なら2.25%でお金が借りられた。

この40年間の金利低下こそが過去半世紀において最も重大な出来事だったと信じている。
しかし、それが徐々に長い時間をかけて起こったため、過小評価されている。

資産価格が将来キャッシュフローの割引現在価値と密接に関係していることを認めるなら、趨勢的な金利低下は投資家に大きな恩恵を与えるものと言える。
マークス氏はさらに、金利低下が借り手にも有利である点を指摘し、2つ合わせて「ダブルの幸運」と呼んでいる。
同氏は、プライベート・エクイティ(PE)業界が金利低下期に育ち、繁栄したのも、当然のことだったと分析した。
PEが好むLBOという手法は、資産価格上昇と借入れ(レバレッジ)の「ダブルの幸運」を狙ったものだったからだ。

(次ページ: 今の金利は高くない)


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